実装設計の「熱・コスト・精度」課題を解決する新技術【JPCA2026レポート第2回】
2026/08/06EVシフトや高密度実装化が進むモノづくり現場において、設計者や製造技術者を悩ませる「熱」「コスト」「精度」の課題。今回は、2026年6月10~12日に開催されたJPCAにて提案された3社の最新ソリューションをご紹介します。粒子同士の「面接触」で高い放熱性を叩き出すフィラー、アルミへの半田付けを無洗浄で可能にしたソルダペースト、そして高精度と短納期を両立した全自動塗布機。現場の「欲しかった」が詰まった、実務に直結する見逃せない新技術ばかりです。
堺化学工業株式会社:柔軟性と高熱伝導率を両立する「放熱フィラー用酸化亜鉛」
堺化学工業が開発した、柔軟性と高熱伝導率を両立する放熱フィラー用酸化亜鉛。最大の特徴は、マトリックスへの充填時に粒子同士が「面」で接触し、太い熱伝導パスを形成する点にあります。一般的なアルミナを超える高い放熱性能を発揮しつつ、素材自体の柔らかさによって混練・成形時における製造設備の摩耗を大幅に抑制できるのが研究開発上の大きなメリットです。
同社の粉体制御技術により、粒子サイズは0.3~70μmまで幅広く対応。粒子形状は、接触面を増やして放熱性を高める「多面体」と、表面積を抑えて樹脂内の流動性を担保する「球状」の2タイプをラインナップ。現在はグリースやシートとして車載・民生用途で実績を重ねています。ネックであった絶縁性の低さに対しても改善アプローチを本格化させており、配合設計の自由度を広げる新素材として注目です。

図1 堺化学工業の「放熱フィラー用酸化亜鉛」。
用途に合わせて高い放熱性を生むラインナップをそろえる。
(画像:堺化学工業提供)
石川金属株式会社:アルミの半田付けを無洗浄で実現する独自のソルダペースト「4515」「4715」
石川金属は展示会に、アルミの半田付けができる独自のソルダペースト「4515」「4715」を出展し、注目を集めていました。EVシフトに伴う銅の価格高騰を背景に、車載メーカーなどで進むアルミ基盤への切り替えニーズに応えた製品だそうです。
フッ素系活性剤の技術を活かし、通常は難しいアルミの半田付けを無洗浄かつペースト状のはんだで実現したのは同社が初とのことです。既存設備をそのまま活用できる高い利便性が強みで、現在は東洋アルミと協力して設計段階からの提案体制を整えているそうです。
今後の課題として、銅と同等の電気容量を持たせるための基盤の再設計(回路を太く・厚くする変更)が必要になる点があるそうです。ただ、これにより体積が増えたとしても、銅に比べて全体としては軽量化につながる利点もあるとのことです。今後はこの強みを活かし、車載の表面実装分野などを中心に普及を目指していく方針だそうです。

図2 EVシフトで需要が高まるアルミ基板への半田付けを、
無洗浄で実現する石川金属の独自ソルダペースト
(撮影:編集部)
武蔵エンジニアリング株式会社:超微小・高精度を両立する汎用型全自動ディスペンサー装置「FAD2500SD」
武蔵エンジニアリングは展示会に、汎用型全自動ディスペンサー装置「FAD2500SD」を出展し、注目を集めていました。同社が強みとする高性能ディスペンス技術を活かし、他社を凌駕する微小塗布と高い塗布位置精度を実現した装置だそうです。
自動セットアップ機能や、粘度変化に応じて塗布量を自動補正する秤量器を搭載し、省人化と安定した品質を両立できるとのことです。特にパッケージ基板とチップ間の空隙を樹脂で埋める「アンダーフィル工程」を得意としており、専用のカスタマイズにも対応しているそうです。
開発時の工夫として、特注ニーズの高い機能をSDモデルにパッケージ化することで、設計時間を省き短納期を実現しているとのことです。今後はこの汎用性と精度を強みに、複雑化する半導体パッケージング市場でのさらなる普及を目指していく方針だそうです。

図3 武蔵エンジニアリングの全自動ディスペンサー「FAD2500SD」。
超微小塗布と高精度な位置制御を両立し、生産現場の省人化に貢献
(撮影:編集部)
今回の記事で紹介した3社の最新技術は、EVシフトや高密度実装化に伴う「熱・コスト・精度」の難題に直面する方々にとって、大いに参考になる内容だと思います。
高い放熱性と設備摩耗の抑制を両立する堺化学工業の面接触フィラー、従来困難だったアルミへのはんだ付けを実現した石川金属の無洗浄ペースト、工程の自動化と高精度化による短納期化を実現した武蔵エンジニアリングの全自動塗布機。これらに共通するのは、高い実用性を備え、量産化や工程改善への具体的な道筋を示した点です。
6月に開催された今回のJPCAは、最先端の基板実装技術が一堂に会し、盛況のうちに閉幕しました。会場で披露された革新的な技術や知見は、複雑化する市場を勝ち抜き、次世代のものづくりを支える強力な武器となります。展示会で発信された数々の情報を参考に、自社の設計・製造課題の解決に向けた次の一手を検討してみてはいかがでしょうか。
Chematels編集部
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