単一素材のリサイクルしやすい合皮を初展示! 汚泥処理コスト削減技術も―小松マテーレ【サスマ展レポート2025 第1回】

2026/02/10
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「第5回サステナブルマテリアル展」(通称サスマ展)の東京展が2025年11月12〜14日、千葉市の幕張メッセで開催されました。今回より3回シリーズで、Chematels編集部が選んだ3社の出展内容を紹介します。第1回は、衣料用ファブリックから炭素繊維を用いた建築耐震補強材まで、独自の技術を融合させ多角的に事業を展開する化学素材メーカーの小松マテーレです。廃液中汚泥をゼロにできる汚泥減容化バイオ製剤や、今回初展示となったリサイクルを促進するモノマテリアルの合皮など、同社のサステナブルな技術を紹介します。

単一素材でリサイクル性を高めた合皮を初出展! 顧客との協業めざす

リサイクルの際、元の製品が複数素材からなる混合物だと、リサイクル品はそれら混合物に何かを足したものに限られてしまいます。その点、モノマテリアルとも呼ばれる単一素材であれば、その素材のみでもリサイクルができるなど、リサイクルの効率化が期待できます。

「ファブリックは、大量生産・大量消費が問題視されています。そこで、リサイクル性に配慮したモノマテリアルの合皮を開発しました」というのは、小松マテーレ(本社・石川県能美市)で大阪営業所長を務める森明豪さんです。

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図1:初出展のモノマテリアルラミネートファブリック。(左)手前から4枚が当該の合皮サンプル。(右)展示されていた用途例。来場者からは「ポリエステルには見えない」といった感想が聞かれた
⁠(筆者撮影)

従来の合皮では、ポリエステルまたはナイロンの基布にポリウレタンの膜面加工をしていました。これに対し、基布も膜面もポリエステル素材にしたのが同社の「モノマテリアルラミネートファブリック」です(図1)。このファブリックでは膜面の材料も内製化しました。

合皮開発を担当した技術開発部基礎研究Gリーダーの藤本香奈さんは、「展示会で開発品として紹介できるところまで仕上がったので、初出展を決めました。ここからは、お客さまと協業して機能の付加や要求性能に合わせた品質決めをしていきたいと思います。例えば、抗菌、消臭、防炎などの機能を付加する、表面にシボと呼ばれる凹凸のテクスチャなどを付ける、色展開を決めるといったことです。耐久性などの品質も必要に応じて作り込んでいけると思います」と説明します。

リサイクルできる合皮のニーズについて、森明さんは、「海外では環境配慮素材へのニーズは非常に高く、国内のニーズはこれからといったところですが、ご興味あるお客さまとはぜひ共同開発を進めていければと思います」と意欲的です。

汚泥減容化バイオ製剤で排水処理コスト削減

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図2:汚泥減容化バイオ製剤「ベリフォーマー」。バイオベンチャー企業と協業して顧客ごとに微生物をカスタマイズ。第14回いしかわエコデザイン賞2024製品領域「大賞」および2025年グッドデザイン賞BEST100受賞
⁠(筆者撮影)

繊維の染色工程では大量の排水が出ます。通常、排水には汚泥が含まれており、汚泥処理のコストを下げるために、汚泥を分別・乾燥させ軽量化します。そこには大量のエネルギーとコストがかかっていました。

「当社は、汚泥をバイオ製剤で処理して、汚泥ゼロを達成しました。この処理技術を自社だけのものとせず他社にも供給するため、ベリフォーマー(図2)という製品にしました」と森明さん。

「ベリフォーマー」は、排水処理施設の曝気槽に投入する微生物の入った液体です(図3)。顧客ごとにその汚泥減容化に適した微生物を調整し、排水の状態をモニターしながら、運用のアドバイスをするとのこと。既存の施設を変えることなく使える点も好評で、すでに大手食品メーカーや自治体での採用実績があります。

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図3:ベリフォーマーの汚泥減容の仕組みと汚泥削減効果
(画像提供:小松マテーレ)

熱を操る、熱で操る…サステナブルな製品を展示

小松マテーレは、他にもサステナブルな製品を紹介していました。

熱可塑性炭素繊維複合材料「CABKOMA(カボコーマ)」は、一度硬化させた後でも、熱をかけて再度変形させることができます。ブースではワイヤー代替品となる「CABOKOMAストランドロッド」を展示していました(図4)。入り組んだ場所での作業性も良いと好評とのこと。

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図4: CABKOMA ストランドロッドの展示。最奥の鉄棒と同じ強度を手前の白いCABKOMAストランドロッドで出せる。軽量なので清水寺や富岡製糸場など重要文化財の耐震にも使われる
⁠(筆者撮影)

「コマクール」(図5)は、赤外線を吸収しにくく、表面温度の上昇抑制効果をもつ合成皮革です。自転車用のサドルに採用された実績があります。

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図5:熱くなりにくい合皮「コマクール」。奥の左側の塩ビレザーよりも、右側のコマクールでは温度上昇が抑えられている
⁠(筆者撮影)

繊維だけでなく多角的に技術を展開する小松マテーレが、今後どのような製品を開発し、展示していくのか、楽しみになりました。

次回は、ギネス世界記録にも認定された、透明なポリプロピレンを作るための透明化剤を展示していたメーカーのブースからレポートする予定です。

村上 華子(むらかみ はなこ)

早稲田大学大学院応用化学修了、社会人経験後、早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラムを修了。LION株式会社の技術ジャーナル、NEDO実用化ドキュメント、計算基礎科学連携拠点の月刊JICFuSなどで研究紹介取材記事を執筆。工学・化学・計算科学・生物学を中心に執筆。