世界初! ヒト細胞由来の化粧品用コラーゲン、抗炎症効果も期待―片倉コープアグリ【化粧品産業技術展レポート2025 第3回】

2025/08/19
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2025年5月14日から16日までパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された「第12回化粧品産業技術展(CITE JAPAN)」のレポートは今回が最終回となります。化粧品という業界柄、華やかに飾る展示ブースが多い中、さまざまなキャラクターが描かれていたのが片倉コープアグリです。世界初となるヒト細胞由来のコラーゲンなどを展示していました。見た目だけでなく製品ランナップにも独自色が見られた同社の新規原料を紹介します。

肥料会社が化粧品原料事業を展開

片倉コープアグリ(本社東京都千代田区)は社名に「アグリ」と付くように農業用の各種肥料を中心に事業を展開しています。創立は1920年で、大分県で桑用の専門肥料企業として誕生し、いまの社名になったのが2015年。肥料事業の売上高は国内最大級で、農業や肥料関係で片倉コープアグリを知っているという方も少なくないでしょう。

担当者によると、同社は当初、傷治療用の医療シートの開発・販売を行なっており、そこでコラーゲンやキトサンといった生体分子の研究開発を行なっていたとのことです。医療分野からはすぐに撤退したのですが、そこで得た技術をもとに化粧品原料事業を展開しており、特に化粧品用コラーゲン原料では業界トップクラスのシェアを占めています。

機能性も示されているヒト細胞由来コラーゲン

化粧品産業技術展では、化粧品原料となる製品をキャラクター化して展示ブースの壁全面に張り出していました。少年マンガの雑誌をイメージしたものということで、華やかな同展の中でもひときわ存在感を放っていました。

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図1:少年マンガ雑誌をイメージした展示ブース。左が表紙、右が裏表紙とのこと
⁠(画像提供:片倉コープアグリ)

マンガ雑誌の表紙に新連載のキャラクターが描かれているように、今回のブースで大きく紹介されていたのが新原料である「カルチャーコラーゲン」です。従来のコラーゲンはヒト以外の生物を由来としていましたが、化粧品原料として世界初となるヒト細胞由来コラーゲンがカルチャーコラーゲンです。

同社が行った試験では、カルチャーコラーゲンを塗布すると真皮層のコラーゲン密度が向上することが示され、肌の内部からハリと弾力を付与することが期待できるとのことです。

また、炎症性サイトカインであるインターロイキン1α(IL-1α:Interleukin-1 alpha)の産生量を減少させる作用があることも分かり、抗炎症作用によって肌トラブルの改善も見込めるとしています。

こうした特徴から、同社はカルチャーコラーゲンを「次世代コラーゲン」と銘打っています。カルチャーコラーゲンは今回の展示会を皮切りにリリースされるとのことです。

睡眠中の肌ケア成分、山菜を微生物発酵して製造

片倉コープアグリからは、他にもユニークな化粧品原料の紹介がありました。睡眠中の肌ケアをうたうのが「ネムリペア」です。

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図2:ネムリペアの紹介パネル。右円内はウワバミソウ
⁠(筆者パネル撮影)

ネムリペアは、山菜の一種であるウワバミソウを原料に、微生物によって発酵させたもの。ネムリペアには、皮膚細胞のメラトニン受容体遺伝子の発現を促進させ、睡眠ホルモンとして知られているメラトニンの作用効率を高める機能があるとのことです。また、色素沈着や目立った毛穴を睡眠中に改善し、肌バリア機能を強化させる機能もあるとしています。

柔らかな質感と高い光拡散性を有する次世代合成マイカ

もう一つ、紹介のあった化粧品原料が「ミクロマイカ」です。

近年、タルクフリーの化粧品がトレンドの一つになっているなか、タルクの物性に近く、プラスアルファの付加価値を有するミクロマイカは、メイクアップ用原料として注目を集めているようです。

ミクロマイカは化粧品向けに合成された高純度のマイカで、透明性が高く、柔らかな質感が特徴です。また、散乱光が多く出るため、毛穴やしわをぼかすソフトフォーカス効果もあり、マットな仕上がりのファンデーションやリップに向いているとのこと。また、紫外線防御成分との組み合わせでSPF(Sun Protection Factor:紫外線防御指数)の向上効果があることが示されており、紫外線のケアにも有効とのことです。

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図3:ミクロマイカの紹介パネル
⁠(筆者撮影)

華やかな雰囲気のなかで各企業の地道な努力の跡も

化粧品産業技術展のレポートを3回にわたりお届けしました。

化粧品という業界の性質からか展示スペース全体が華やかな雰囲気となっていましたが、どの企業も地に足をつけた地道な努力によって強みを打ち出しているのが印象的でした。今回のレポートが、皆さんのパートナー探しの一助となれば幸いです。

島田 祥輔(しまだしょうすけ)

サイエンスライター 1982年生まれ。名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了。特に遺伝子に興味があり、遺伝子の研究によって医療や生活がどう変わっていくのかに注目している。また、腸内細菌検査サービス「マイキンソー」のオウンドメディア「Mykinsoラボ」の編集長を務める。