粘度が自在の界面活性剤! 生分解性真球粒子の展示も―ダイセル【化粧品産業技術展レポート2025 第1回】
2025/07/102025年5月14日から16日まで、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で「第12回化粧品産業技術展(CITE JAPAN 2025)」が開催されました。化粧品産業における最新の素材・技術・サービスに関連する展示と技術発表の場として、3日間で延べ6万6000人を超える来場者数を記録しました。Chematelsでは今回から3回にわたって注目企業と製品を紹介します。第1回は、ダイセルの展示ブースより。とろみを付与できるクレンジング用界面活性剤と、酢酸セルロースを由来とする生分解性真球粒子を紹介します。
2種類のオレイン酸ポリグリセリルの混合比で粘度を自在に
ダイセル(本社大阪市)は、独自のポリグリセリンの製造技術を有しており、今回その技術を活用して展示したのが2種類のオレイン酸ポリグリセリル「P-PGLE MO04/MO06」です。これらの製品の特徴は、高いクレンジング機能を保ちながら透明性に優れ、増粘剤を使用することなくとろみを付与できる界面活性剤であることです。
市販のクレンジングオイルでは黄色がかったり白濁したりしており、無色透明な製品はなかなかありません。その点、P-PGLE MO04/MO06は不純物の割合が低いため無色透明を実現しているとのことです。

図1:P-PGLE MO04/MO06の展示ポスター。担当者が来場者たちに説明する様子が絶え間なく続いていた
(筆者撮影)
そして、この製品のユニークな特徴は、MO04とMO06の混合比率を変えることで、増粘剤を使わずにさまざまな粘度を作り出すことができる点にあります。実際に手に取ってみると、粘度の違いが実感できるほどでした。最終製品のコンセプトに合わせて比率を変えれば、MO04とMO06の2種類だけで理想的なテクスチャーを実現できるわけです。

図2:P-PGLE M0O4/MO06の混合比による粘度の違い
(画像提供:ダイセル)
同社ヘルスケアSBUマーケティング部の担当者は、「クレンジングでは『摩擦レス』というトレンドがあり、増粘剤なしでも粘度を付けたいという要望に応えられるものと思います」と話します。
P-PGLE M004/M006は界面活性剤としての洗浄能力にも優れており、洗い流し時にすばやく乳化します。
2025年2月にリリースされ、現在までの反応はかなりよいとのこと。「今回のCITE JAPANでも本製品を目当てに来られた方が多く、かなりの数のサンプルをお渡ししています」という担当者の話から、注目の高さがうかがえました。
EU基準対応の製品も、生分解性の酢酸セルロース真球粒子
ダイセルのブースで展示されている製品の中でChematelsがもう一つ注目したのが、酢酸セルロース真球粒子「BELLOCEA®(ベロセア)」です。

図3:BELLOCEAの展示ポスター。真球の粒度の均一性の高さに注目が集まったとのこと
(筆者撮影)
化粧品には、柔らかな感触を持たせるためにナイロンやシリコンなどのマイクロプラスチックビーズが配合されているものがあります。ところが、近年の環境保護の観点から、マイクロプラスチックビーズを使わないニーズが高まりつつあります。
そこで、マイクロプラスチックビーズの代替品としてダイセルが販売しているのが化粧品用感触改良剤のBELLOCEAシリーズです。

図4:BELLOCEA S7とBS7
(筆者撮影)
BELLOCEA S7は、酢酸セルロースという自然由来の成分でありながら真球度が非常に高く、中心粒径を7 μmとするサイズのばらつきの少ない粒度分布が特徴で、なめらかな感触を化粧品にもたらします。生分解性を有することから環境負荷を軽減できるとされ、2020年に発売以降、日焼け止めやファンデーション、乳液用途に販売を進めてきました。
2025年3月に新たに販売開始となったBELLOCEA BS7は、生分解性をさらに高めたものです。これは欧州連合(EU)が定める厳しい生分解性の基準に適合するよう開発されたもので、経済協力開発機構(OECD)がガイド化した試験法OECD TG301Fの試験条件において28日後の分解度が60%以上であることが示されています。BELLOCEA S7と同様、平均粒子径は7 μmでばらつきの少ない粒度分布をもつことから伸びがよく、粉単体でも配合できます。
ヘルスケアSBUマーケティング部のBELLOCEAの担当者は、「欧州を含めたグローバル市場をターゲットにしており、海外からのお客さんを中心にBELLOCEA BS7を紹介しています。S7とBS7ではわずかに感触が違うので、まずは手に取っていただいて希望する感触のものを選んでいただくのがいいと思います」と提案します。この展示会では、特に真球の粒度分布のばらつきの少なさに気を引かれて立ち止まる方が多かったとのことです。
次回は、同展示会の表彰企画「CITE JAPAN 2025 アワード」の技術部門で金賞に輝いた紫外線防御クリームを開発した企業を紹介します。
島田 祥輔(しまだしょうすけ)
サイエンスライター 1982年生まれ。名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了。特に遺伝子に興味があり、遺伝子の研究によって医療や生活がどう変わっていくのかに注目している。また、腸内細菌検査サービス「マイキンソー」のオウンドメディア「Mykinsoラボ」の編集長を務める。

