0.03mmで熱を断つ! 量産予定の遮熱箔を展示―尾池アドバンストフィルム【新機能性材料展レポート2025 第3回】

2025/06/03
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2025年1月に東京ビッグサイトで開催されたモノづくり関連の製品・技術の展示会「新機能性材料展」では、高機能の金属箔の展示も目を引きました。本展からのレポート最終回となる第3回では、「0.03mmで熱を断つ」とうたう金属箔を全面に打ち出していた尾池アドバンストフィルム(本社京都市南区)を紹介します。同社はプラスチックフィルムの表面加工に強みをもつ尾池工業グループのなかで、ドライ・ウェットコーティングを主軸としたコンバーティング事業を展開するとともに、ディスプレイ材料、電子材料、工業材料をはじめとする機能材料に関わる技術と製品を提供しています。

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他社に類似例なし! 厚さ0.03mmの遮熱箔

「熱を断つ」と聞くと、ガラスウールやロックウールなどの厚みある断熱材を思い浮かべる方も多いかもしれません。尾池アドバンストフィルムは、なぜ「0.03mm」という薄さで「熱を断つ」ことを実現できたのでしょうか。

遮熱箔を紹介していた事業開拓グループ熱マネジメント材料チームチームリーダーの檜木利雄さんは、「熱の伝わり方には3種類あり、伝導、輻射、対流です。ガラスウールなどの断熱材は、熱の伝導を抑えて、熱がゆっくり伝わるようにしたものです。今回、紹介しているのは、赤外線などの電磁波を跳ね返す、つまり輻射熱を反射して熱が伝わるのを抑える遮熱箔です」と、説明します(図1右上)。

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図1:高温遮熱箔の展示。国の支援事業「令和6年度成長型中小企業等研究開発支援事業」の一環としてファインセラミックスセンターとの共同研究で量産化の開発をしている。基礎研究は中部電力とファインセラミックスセンターで行われた
⁠(画像提供:尾池アドバンストフィルム)

この高温遮熱箔の構成は、厚み10〜50μm(1μmは0.001mm)のステンレス箔に1μm以下の反応抑制層、シリサイド合金の遮熱層、耐酸化層をコーティングしたものとなっています(図1)。その特長について檜木さんは「薄さに加えて、遮熱層を守る反応抑制層と耐酸化層があるため、600℃で 10年の耐久性を誇ります。塗料では、遮熱を利用した材料はありますが、このような高温耐久性のある遮熱箔は他社製において聞いたことがありません」と胸を張ります。

展示会では、遮熱箔の実演展示もありました(図2)。初出展の遮熱箔に「多くの方が足をとめてくださった」と、檜木さんは手応えを感じているようです。

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図2:高温遮熱箔の実演展示。350℃に加熱した2台のヒーター(左下)の上に遮熱箔とステンレス箔をそれぞれかざし、上部のサーモカメラで温度を測定。右のモニターに表示。遮熱箔があると表面温度は108℃、ステンレス箔のみでは127℃になる。「展示会場では安全の観点から温度を抑えていますが、実際に使用するような600℃くらいの高温になると、遮熱箔とステンレス箔の温度差は50〜60℃くらいまで大きくなります」と檜木さん
⁠(筆者撮影)

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幅広の箔ロールも開発し、用途拡大を狙う

檜木さんは遮熱箔の開発スケジュールについて、「今回、初めて展示会に出展できるところまできました。2025年中には、600mm幅のロール状で量産化する予定です」と言い、さらにこう続けます。

「少量のサンプル提供であれば、すでに開始していますが、大きいものは2025年秋くらいに提供する予定です。どのくらいの厚みや幅をお客さまがお望みなのかなど、これから多くのお客さまと検討を重ねていければと思います」

同社は、使用例として配管や壁面の遮熱、加熱炉の内側に貼るなどを挙げています(図1下)。高温配管を模擬した試験では、遮熱箔を配管周囲に巻くことで、64%の省エネ効果が得られるとの結果を得ています(図3)

「ただし、開発したばかりなので、お客さまと一緒に用途の拡大もしていきたいですね」と檜木さんは言います。

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図3:遮熱箔の使用例。遮熱箔を高温配管に使用。遮熱箔の有無で最大64%の省エネ効果が得られた。箔なので、コンタミネーションを気にする場所への使用も考えられる
⁠(画像提供:尾池アドバンストフィルム)

出展ブースでは遮熱箔の他に、日射調整、飛散防止などの機能をもたせたウィンドウフィルムや、きれいに輝く金色加飾フィルムの展示もありました。コンバーティングビジネス部門コンバーティング営業チームチームリーダー高野祐輔さんからは、「日射調整は高温遮熱箔とは温度帯が異なる、『常温帯』での遮熱が可能です。尾池アドバンストフィルムではあらゆる温度帯での熱マネジメント商品をラインナップしています。当社のコンバーティング技術を生かし、お客さまのご要望にお応えします」とのお話がありました。

この記事で紹介した尾池アドバンストフィルムの展示関連のカタログを、下記バナーからダウンロードしていただくことができます。

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新機能材料展のレポートを全3回でお届けしました。この機会に、ぜひ第1回、第2回の記事もご覧ください。第1回の三洋化成工業の記事「ナノ加工向け!屈折率も耐光性も高い樹脂など展示」はこちら。第2回のクラリアントジャパンの記事「原料バイオ化で植物性100%界面活性剤やCO2減ポリウレタン実現へ」はこちらです。

村上 華子(むらかみ はなこ)

早稲田大学大学院応用化学修了、社会人経験後、早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラムを修了。LION株式会社の技術ジャーナル、NEDO実用化ドキュメント、計算基礎科学連携拠点の月刊JICFuSなどで研究紹介取材記事を執筆。工学・化学・計算科学・生物学を中心に執筆。