放熱性の高い酸化亜鉛フィラーなど多彩な製品展示 堺化学工業 【ケミカルマテリアル Japan2024レポート第2回】

2025/03/25
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2024年11月に開催された「ケミカルマテリアル Japan2024」では、多くの化学メーカーが自社の持つ先端技術を生かした製品を出展しました。第1回の東ソーに続き、第2回では堺化学工業(大阪府堺市)の出展内容をお伝えします。1918年創業の同社は、化粧用のおしろいに使用される酸化亜鉛の製造を祖業とし、その後、バリウムや酸化チタンといった無機粉体加工技術を磨き続けてきました。現在は、電子材料や有機化成品などの分野にも事業を拡大し、多様なニーズに応えています。今回は、同社が各分野で“イチオシ”する製品を紹介します。

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電子部品の放熱に、アルミナの性能を上回る酸化亜鉛フィラー

電子部品の放熱対策に使用される「放熱シート」や「放熱グリース」には、熱伝導率の高い金属酸化物粒子が用いられます。これは放熱フィラーとも呼ばれます。一般的に、アルミナ(酸化アルミニウム)を材料とするものが主流ですが、近年のデータ伝送の高速化やパワーデバイスの普及により、より高い放熱性能を持つフィラーへの需要が高まっています。

「こうしたニーズに応えるため、私たち堺化学工業が開発したのが、大粒子酸化亜鉛『LPZINC』です。長年にわたり培ってきた酸化亜鉛の技術を生かし、放熱フィラー用途を展開しました。多くの企業から関心を示され、高い評価を得ています」と、堺化学工業研究開発部の山本高志さんは語ります。

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図1:放熱フィラーによる放熱のイメージ
⁠(画像提供:堺化学工業)

酸化亜鉛は、アルミナと比較して熱伝導性が高く、熱膨張率が低いという特性を持っています。また、材質の柔らかさが特徴であり、混錬機や成形機の摩耗を抑えるメリットもあります。

放熱性をさらに向上させるには、フィラーの充填率を高めることが重要です。「小粒子のみでは熱抵抗が発生しやすくなるため、大粒子を中心に配置し、その隙間を小粒子で埋めることで、高い充填率を実現できます」と山本さんは説明します。

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図2: LPZINCの最密充填効果
⁠(画像提供:堺化学工業)

「LPZINC」の粒子サイズは2μmから70μmまでと幅広く、多様なニーズに対応しています。酸化亜鉛フィラーの新たな価値を提供する製品として、今後の活用が期待されます。

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サンドイッチ構造の難燃剤を開発し、コスト削減に貢献

樹脂に使用される難燃剤には、ハロゲン系などのほかアンチモン系がありますが、アンチモン系の三酸化アンチモンは希少資源であり、近年の中国の輸出規制による価格高騰が課題となっています。

そこで、堺化学工業が開発したのが、難燃助剤「難燃ハイドロタルサイト HT-88F」です。

「本製品を使用することで、三酸化アンチモンの一部を代替しながらも高い難燃性を維持できます。さらに、樹脂に近い屈折率を持つため透明性を損なわず、人体にも無害です。難燃剤コストの大幅な削減に貢献します」と、同社営業本部の楢山剛司さんは説明します。

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図3:難燃ハイドロタルサイトHT-88F使用 難燃性評価
⁠(画像提供:堺化学工業)

同社は、塩化ビニール向けの安定剤をはじめ、多様な樹脂添加剤を開発してきました。その一つであるハイドロタルサイトは、マグネシウムとアルミニウムの層の間に水と炭酸イオンが挟まれた「サンドイッチ構造」を持つ粉体化合物です。このユニークな構造により、耐熱性や酸中和性能などを発揮し、さまざまな用途で利用されています。

「当社は以前からハイドロタルサイトの開発や製造を手がけており、その知見を生かして本製品を開発しました。現在は塩化ビニール向けの難燃剤として展開していますが、今後に向けオレフィン系樹脂などへの応用も視野に入れています」(楢山氏)。

コスト削減と環境配慮を両立する新たな難燃剤として、今後ますます注目されるでしょう。

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耐水性・耐衝撃性に優れた電子材料用接着剤向けチオール硬化剤

堺化学工業は、無機化合物だけでなく有機化成品の事業にも注力し、硬化剤や増感剤などの樹脂用途製品を幅広く展開しています。その代表的な製品が、炭素鎖の末端にSH基(チオール基)を持つ「チオール硬化剤」です。

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図4:チオール硬化剤。DSCは示差走査熱量測定。Three-point flexural testは3点曲げ試験
⁠(画像提供:堺化学工業)

「お客さまのニーズに応じたチオール硬化剤を多数取り揃えています。例えば、チオール基を複数持つ多官能チオールは、一般的なエポキシ樹脂硬化剤と比べて反応性が高く、低温で速やかに硬化する特性があります」と、同社研究開発本部の木戸場潤さんは説明します。

しかし、チオール硬化剤には耐水性に課題がありました。そこで、同社が新たに開発したのが「Multiol(マルチオール)シリーズ」です。

「Multiolは、水に強いエーテル型骨格を持つチオール硬化剤です。これをエポキシ樹脂硬化剤として使用することで、耐水性が大幅に向上します。柔軟性や耐衝撃性にも優れ、スマートフォンやタブレット用の接着剤向けとしては最適です」(木戸場氏)

堺化学工業は電子材料市場を中心にMultiolシリーズを展開し、採用実績を積み重ねており、現在量産化の対応を進めているとのことです。

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次回は、フッ素コーティング代替技術や抗菌・ウイルス除去コーティング剤を展示する化学メーカーのブースからレポートする予定です。

和地慎太郎(わちしんたろう)

ライター(元技術系公務員)。東北大学大学院応用化学修了後、大手製造業で電子材料などの製造開発に従事。その後、地方公務員の化学技術職として、製造業者など多数の企業に対し、廃棄物処理など環境分野での施策を実施。環境省認定制度脱炭素アドバイザー、公害防止管理者、廃棄物処理施設技術管理者の各資格を保有。ビジネス系webメディアや製造業者のwebサイトなどで主に執筆。新著に『ビジネス教養として知っておくべきカーボンニュートラル』(ソシム)がある。