「サステナブル素材のセレクトショップ」次世代の化成品も多数展示―ハイケム【サスマ展レポート2024 第3回】

2025/02/20
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Chematels編集部がお届けする、第4回サステナブルマテリアル展(サスマ展)レポート2024の第3回は、自社を「サステナブル素材のセレクトショップ」と紹介するハイケムを取り上げます。ハイケムは、日中化学品の専門商社から始まり、現在では、日本で研究開発や製造もする化学メーカーとなっています。ブースではサステナビリティに貢献する化学原料、太陽光発電用高機能材料、グリーン水素製造用部材の展示がありましたが、その中から本記事では、メディア向け説明会でも詳しく紹介されていた「サステナビリティ向けの化成品素材」を紹介します。

石油由来に匹敵する品質のバイオプラスチック

石油ではなく、バイオマスを利用してつくるバイオプラスチックの普及が期待されています。ハイケムが紹介していたのは、バイオナイロンの製品や、ポリウレタン原料のバイオマス化技術です。

同社が取り扱うバイオナイロンには、バイオマス度45%の「PA56」と、同100%の「PA510」の2品種があり、PA56は石油由来のナイロン「PA66」に匹敵する高い融点254〜269℃を誇ります。

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図1:バイオナイロンとその成形品
⁠(筆者撮影)

PA56はまた、原料製造時の二酸化炭素(CO2)排出量をPA66の約半分に抑えており、この点でも環境にやさしいプラスチックといえます。「バイオナイロンで石油系ナイロンを代替する動きが出ています」と、専務取締役の林勁松さんは説明します。

合成皮革や塗料、エラストマー、接着剤などに利用されるポリウレタンの原料である「バイオポリエステルポリオール」や「ポリプロピレンカーボネートジオール」についても取り扱いを開始しています。また、CO2を直接利用し、製品内に固定する「CO2ポリオール」の取り扱いも開始しました。

ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンの原料となるバイオモノマーの紹介もありました。「1,3-プロパンンジオールは大量生産もできるようになっており、2、3年前からお客さまに紹介しています」と林さん。ポリオールやポリウレタンのバイオマス化に貢献するバイオモノマーとして「1,5-ペンタンジアミン」や「1,5-ペンタメチレンジイソシアネート」の紹介もありました(図2)。

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図2:バイオモノマーのラインナップ展示パネル
⁠(筆者撮影)

常温の海水でも分解しやすい生分解性プラスチック

生分解性ポリマーの代表格はポリ乳酸(PLA:Polylactic acid)ですが、「コストや耐熱性、成形性がネックとなり、急速に普及するというところまでは行きません」と林さんは説明します。一方で、マイクロプラスチック問題が顕在化し、生分解性ポリマーへの期待は高まっています。2025年には2023年比で10〜15%増のポリ乳酸の増産が世界で見込まれています。

ハイケムも2021年に「ハイラクト」というトウモロコシ由来のPLA繊維ブランドを立ち上げ、生分解性プラスチック事業に力を入れてきました。「従来は、PLA繊維から生地を作るところが難しかったのですが、他社と協力して良質な生地を作れるようになりました。ファッションブランドに提案すると、皆さんに驚かれます。すでに複数のハイブランドで採用が決まっています」と林さんは胸を張ります。繊維以外に、発泡樹脂、真空成形容器、フィルムにも成形できます。

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図3:ポリ乳酸の成形品。繊維、発泡パネル、真空成形容器、フィルムに成形。インフレフィルムは高級ブランド服の包装に採用されている
⁠(筆者撮影)

ポリ乳酸の常温の海水における分解のされにくさを克服した海洋生分解性樹脂「ポリヒドロキシアルカノエート」(PHA:Polyhydroxy alkanoates)について「PHBV」と「P3HB4HB」を紹介していました(図4)。林さんは、「樹脂が柔らかいP3HB4HBについては、紙コップのラミネート剤に使うとよいのではないかと考えています。現在使われているポリエチレンラミネートのコップは、回収しても海で分解できません。当社の取り扱うP3HB4HBはすでに米国の食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)で認証されており、日本でも近い将来、認証されると予想しています」と状況を説明します。

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図4:PHAの展示パネルと成形品
⁠(画像提供:ハイケム、写真撮影:筆者)

国家プロジェクトに参画、サステナビリティ実現への中長期的な取り組み

ハイケムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO:New Energy and Industrial Technology Development Organization)のCO2固定化につながるプロジェクトにも参画し、富山大学、千代田化工建設、日鉄エンジニアリング、日本製鉄、三菱商事と共同で研究を進めています。この研究では、ポリエステルの原料となるパラキシレンをCO2から製造しようとしています。同社が担当するのは、触媒開発、スケールアップ、商業化の検討です。

また、北海道大学の触媒科学研究所と共同で、バイオポリエチレンフラノエート(Bio-PEF:Bio-polyethylene furanoate)の共同研究を行う「ハイケム北大R&Dラボ」も立ち上げており、中長期的な取り組みにも力を入れています。

ほかに、電気製品を回収して国内の工場でリサイクルし、難燃剤や機械特性を向上させる樹脂を要望に応じて添加した改質リサイクル樹脂の紹介などもありました。「サステナブル素材のセレクトショップ」をさらに実感したい方は、同社の「サステナブルマテリアル展(SUSMA)2024 ハイケム特設ページ」をご覧ください。

全3回にわたりサスマ展レポートをお届けしました。いかがでしたでしょうか。他2回をまだお読みでない方は、ぜひ、「カーボンネガティブへ、バイオマスの価値をつなげる技術を開発―ダイセル」と、「超寿命化! 大容量化!二次電池を高性能にする材料を取り揃え第一工業製薬」の記事もご一読ください。サステナブルマテリアルをめぐる取り組みの最前線をご紹介しています。

村上 華子(むらかみ はなこ)

早稲田大学大学院応用化学修了、社会人経験後、早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラムを修了。LION株式会社の技術ジャーナル、NEDO実用化ドキュメント、計算基礎科学連携拠点の月刊JICFuSなどで研究紹介取材記事を執筆。工学・化学・計算科学・生物学を中心に執筆。