体の糖化を抑える食材! ハーブから開発―からだサポート研究所【食品開発展レポート2024 第2回】
2025/01/232024年10月23日から25日まで、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された食品分野の専門展示会「食品開発展」をレポートしています。第2回目で紹介するのは、からだサポート研究所の「AGハーブMIX」です。展示ブースには、「糖化を抑制」や「肌老化ケア」というキャッチフレーズとハーブの花のイラストが飾られています。どう結びつくのでしょうか。
老化や糖尿病などにつながる糖化を防ぐ
からだサポート研究所はアークレイ(本社京都市)のグループ会社で、糖尿病などの病気の診断や検査に必要な機器や技術を開発しています。「当社は、医療のノウハウを食品に応用するためにできたのです」と、同社営業チーム部長の瀧村純一さんが話します。
展示ブースにあったのが、「糖化を抑制」のフレーズです。最近よく耳にする「糖化」とは、血液中の糖分と体内のタンパク質が結合して終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End products)が生成するという反応です。例えば、糖尿病で血糖値の高い状態が続くと糖化しやすくなります。糖化は、トーストやクッキーの香ばしい焼き色や香りをもたらす食品の「メーラード反応」としてもよく知られていますが、体内でも起きているのです。
近年、分かってきたのが、糖化は年齢とともに起こりやすくなり、蓄積されたAGEsは老化を促し、また、糖尿病の合併症のほか、骨粗しょう症やがんなどの疾病にも関わるということです。この糖化を長年にわたり研究してきた科学者が、糖化を防ぐ物質が天然物にあるのではないかと考えたことが「AGハーブMIX」の開発のきっかけでした。

図1:容器のうち手前、1番左に入っているのが「AGハーブMIX」
手に入りやすいハーブで
「皆さんに利用してもらうには手に入りやすくて、食経験のあるものがいいですよね。食経験のない、珍しいものでは有害事象が起こる可能性もあります。そこで身近なハーブに目をつけ、多種類のハーブの効果を調べました。どの種類のハーブがいいのか、どんな組み合わせがいいのかなどを調べるのは、気の遠くなるような作業だったと思います」と瀧村さんが開発の様子を話してくれました。
糖化メカニズムの研究の知見によれば、AGEsの生成経路は複数あります。そこでからだサポート研究所は、できるだけ多くの生成経路で効果を見いだせるようにハーブを選びました。植物分類学上で遠い種類のハーブの組み合わせにすることで、なるべく多くの成分を含むようにしたそうです。
そうして見つかったのが、カモミール、ドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウの葉の4種類でした。さらに、糖化を抑えることは、くすみや弾力といった肌の老化の抑制効果にもつながることが臨床試験により明らかになりました。糖化も肌老化も抑制できるとは、一石二鳥の効果といえるかもしれません。
瀧村さんが粉末の素材を見せてくれ、「濃いハーブティーの粉末です。少し苦みがある漢方薬のような味ですが、お菓子などにするとおいしいです」と話します。サプリメントの原料のほか、酢を使ったドリンクやクッキーなどの材料にも使われているそうです。
蓄積されたAGEsを排出する糖化ケア素材も

図2:「サトナシール」などの製品紹介
糖化ケア素材としては、あわせて「サトナシール」という製品も紹介されていました。フェネルとハイビスカス、フェヌグリークという3種類のハーブからできたもので、蓄積されたAGEsを排出する目的で開発されました。
その他、メタボリックシンドローム対策に効果が期待される柑橘類由来成分も紹介されていました。ハーブやかんきつ類など身近な素材にも興味深い効果があることを知りました。
次回は最終回。食材を無駄にせず、おいしくするための技術や製品を各企業の展示ブースから紹介する予定です。
佐藤 成美(さとうなるみ)
サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)。東京大学大学院農学生命科学研究科修了(農学博士)。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。科学の幅広い分野について一般向けの記事のほか、研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『本当に役立つ栄養学』『「おいしさ」の科学』(以上、講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。

