世界最小級ドローンで屋内設備点検のDXを実現 リベラウェア【Zoom up!企業ニュース】
2024/10/29デスク:2024年3月、福島第一原発の格納容器内部の調査でドローンが使われたそうです。特に狭い空間に対応した小型ドローンで、これまで確認できなかった場所の撮影に成功したとか。
編集長:それは、リベラウェアの「IBIS(アイビス)」というドローンだよ。企業や自治体からも注目を集めているんだ。
デスク:編集長、知ってたのですね。そんなに注目されているんですか。
編集長:そうなんだ。これまで人が入れなかったような「狭く・暗く・危険な」場所での設備点検に活用されている。製造業でも大きな助けになっているらしい。
デスク:それなら、多くの方にぜひ紹介したいですね。
編集長:そうだな。記者を派遣して、詳しい話を聞いてきてもらおうか。
「狭く・暗く・危険な」屋内設備に、超狭小空間点検ドローン
製造業をはじめとする多くの企業にとって、設備点検は欠かせない業務です。しかし、設備点検には生産設備の稼働停止、点検コストの確保、作業員の不足、技術継承の困難さなど、多くの課題が伴います。
近年、これらの課題を解決する手段として、ドローンを活用した設備点検が注目されています。特に、2021年9月に航空法が規制緩和されたことを受け、ドローンを導入する企業が増えています。
ただし、従来の産業用ドローンは衛星利用測位システム(GPS:Global Positioning System)を用いた操縦が主流で、電波が届きやすい屋外での使用が中心です。そのため、配管やタンクの内部など狭い屋内空間での点検には適していません。これらの場所では、従来通り人力による点検が行われているか、そもそも点検自体が行われていないケースも見られます。
こうした課題に対して、いま注目を集めているがリベラウェア(本社千葉県千葉市)のソリューションです。同社が開発した「超狭小空間点検ドローン『IBIS(アイビス)』」は、独自技術で多くの企業や自治体から評価を受けています。

図1:超狭小空間点検ドローン「IBIS」
(画像提供:リベラウェア)
同社の成長戦略部部長、全貴成(チョンキソン)氏は次のように語ります。
「IBISは業界最小クラスのドローンで、重量243g、縦横20㎝、厚み5㎝と非常にコンパクトです。リベラウェアでは、狭小空間に特化した設備点検サービスを提供し、さらにドローンで撮影した映像を解析して異常箇所を検出するなどのデジタルサービスも展開しています」
全氏によると、屋内設備に特化した小型ドローンを開発し、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)サービスまで提供している企業は、世界的にもまれだそうです。
リベラウェアのサービスを導入する企業は、鉄道、鉄鋼、電力、石油化学、セメントなどの業種の270社以上。実際の点検対象設備は、煙突内部、ダクトや配管内部、ボイラー内部、天井裏、地下ピットなど。特に化学系メーカーでは、埋設配管や蒸留塔、タンクなどの点検が多く行われています。

図2:ドローンIBISの利用空間の例
(画像提供:リベラウェア)
「一部の現場では、硫化水素などの有毒ガスや酸欠の危険が伴うため、人が直接調査を行うと事故のリスクが高まります。現在、硫化水素や酸素、一酸化炭素などを検知するセンサーを搭載し、事前に環境を把握するドローンの開発も進めています」と全氏は言います。
飛行性能、防塵性、撮影性能に特徴
IBISにより、これまで困難とされていた「狭く・暗く・危険な」設備における点検の効率性と安全性の向上が期待できます。全氏によると、IBISには、小型であることのほか、以下の三つの特徴があります。
一つ目は、飛行性能です。IBISはGPSでなく無線で操縦するため、中継器を使用すれば、電波が届きにくい閉鎖空間でも安定した飛行が可能です。また、壁に衝突してもバランスを崩しにくい機能を備えているうえ、万が一落下して裏返しになった場合でも、プロペラを逆回転させて元の状態に戻すことができます。
二つ目は、防塵性です。飛行時に発生する風によって埃や粉塵がモーター内に入り込むことが、ドローンが故障する多くの原因となります。その点、IBISでは密閉式のモーターを採用しているため、粉塵の多い天井裏などの環境でも防塵性を保って飛行できます。
三つ目は、暗い場所での撮影性能です。高感度のイメージセンサーを搭載しているため、内蔵の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)ライトだけで撮影が可能です。
IBISの操縦については、リベラウェアのプロパイロットのほか、利用者自身がすることも可能とのこと。「定期的に講習会を開いており、IBISの基本操作を学べます。ドローン未経験者でも、毎日トレーニングを重ねて1カ月ほどで点検業務ができるようになる方がいます」(全氏)
同社は、IBISをレンタルしてもいます。万が一ドローンが破損しても、何度でも無償で修理や交換を承るようにしています。
図3:リベラウェアによるIBISの紹介
(動画提供:リベラウェア)
映像データ解析で、異常を発見、図面を作成
リベラウェアは、ドローンによる設備点検に加え、撮影された映像データを解析してデジタル化するサービスも展開しています。
具体的には、設備の形状を無数の点で表す「点群化」によって、新たな図面を作成することが可能です。これは、更新工事を行う際に、図面がない場合や、既存の図面が現状と一致しない場合に特に役立ちます。通常、点群化はレーザースキャナで行われますが、狭い天井裏や地下ピットなど、レーザースキャナを持ち込めない場所では、その代替となります。
また、映像データから設備を「3D化」することも可能で、これにより設備の壁面の剥離や堆積物の状態を把握しやすくなり、異常箇所の早期発見につなげることができます。さらに、人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術を活用して、ひび割れや錆などの異常箇所を自動で検出することも可能です。これらの機能により、人の目では見逃しがちな異常を発見し、その程度を定量化することができます。
「最近は、DXサービスの利用が増えており、ドローンによる点検と併せて導入される企業が全体の半数以上に上っています」と全氏は話します。映像データと解析技術を組み合わせることで、従来の手法では捉えきれなかったリスクを“見える化”し、点検の精度向上を目指す企業が増えているようです。

図4:ドローン・画像処理技術などを用いてのDX
(画像提供:リベラウェア)
「見えないリスクを可視化する」
リベラウェアのサービスを利用した顧客からは「いままで見たことがないダクト上部までの全体の腐食状況を確認できた」「機体が小さく軽いので構造物を傷めることもない」などの声が寄せられています。全氏は「以前は危険を伴う点検をドローンで代替できたことや、いままで確認できなかった箇所を点検できるようになったことへの反応を多く受けています」と話します。
今後の展望について、全氏は次のように語ります。
「リベラウェアは、『見えないリスクを可視化する』ことをビジョンとして掲げ、誰もが安全な社会の実現を目指しています。そのため、より高性能なドローンの開発を進めるとともに、お客さまが求めるデータの提供や解析サービスを充実させていく方針です。個々の企業との連携を通じて得られる多様なデータを活用し、設備の長寿命化や安全性の向上に貢献できればと考えています」
依然として人の目視が必要な場面もありますが、ドローンやデータ解析技術を活用することで、設備点検の変革を期待できるのではないでしょうか。
和地慎太郎(わちしんたろう)
ライター(元技術系公務員)。東北大学大学院応用化学修了後、大手製造業で電子材料などの製造開発に従事。その後、地方公務員の化学技術職として、製造業者など多数の企業に対し、廃棄物処理など環境分野での施策を実施。環境省認定制度脱炭素アドバイザー、公害防止管理者、廃棄物処理施設技術管理者の各資格を保有。ビジネス系webメディアや製造業者のwebサイトなどで主に執筆。新著に『ビジネス教養として知っておくべきカーボンニュートラル』(ソシム)がある。

