機能性表示食品を開発するときの注意点、気になること【保健機能食品 第3回】 

2020/09/07


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⁠前回は、トクホ開発には膨大な時間と費用がかかるため、特に資金が潤沢でない中小企業にとってはハードルが高いものであると説明しました。

そこで、2015年に施行された「食品表示法」のもとで導入されたのが機能性表示食品です。

今回は、トクホとの大きな違いである「研究レビュー」を中心に、手続きや注意点などを解説します。

 第2回はこちら:トクホを開発するときの注意点、気になること

論文を探すにも慎重になるべき

トクホの申請では、ヒトが最終製品を摂取した試験(ヒト試験)で有効性と安全性を証明し、そのことが査読 (*1)付き論文として学術誌に掲載されることが条件になります。

機能性表示食品では、最終製品を用いたヒト試験を行わなくても、機能性関与成分(食品の中で機能性を持つ成分のこと)を使った別のヒト試験に関する論文を根拠に、機能性をアピールすることが可能です。複数の論文をもとに機能性を評価することを「研究レビュー」と言います。一見簡単そうなことに思えますが、これはこれで慎重な作業が要求されます。

例えば、ある成分を使ったヒト試験を検索したところ、血圧が高めの人で血圧を下げる結果を出した論文が2報、血圧を下げない結果を出した論文が10報あったとします。この場合、前者の論文2報だけを根拠に「この成分には血圧を下げる効果があると報告されています」と宣伝することには無理があります。否定的な論文が多いのに、好意的な論文だけを取り出して有効性をアピールすることは許されません。

論文を選んだ過程を全て明記する

そこで、消費者庁に届出を行う際、提出種類には、根拠とする論文を選んだ過程も明記するよう定められています。フォーマットは決められており(「別紙様式(Ⅴ)-5〜16など」)、例えば次のような項目があります。

・論文を評価する人は誰か(2人以上で独立して行う)

・どのデータベースで、どのキーワードで検索したか

・何件ヒットしたか

・タイトルや要旨を読み、目的の成分と機能で評価している論文はいくつあるか

・論文を隅々まで読み、機能性表示食品の対象者で(子ども、妊婦、有病者ではないこと)、目的の成分と機能で評価した論文はいくつあるか

・最後まで残った論文を総合的に判断して、成分に有効性と安全性が認められるか

最後の総合評価については、必ずしも肯定的な論文数が否定的な論文数を上回る必要はありません。ただし、否定的な論文が多い場合、なぜ有効性があると判断したのか、詳しく記載する必要があります(年齢層の違い、成分の摂取量の違いなど)。

なお、論文というと英語を想像しがちですが、特に外国人が対象となっている論文については、日本人にも当てはまるかどうか判断する必要があります(血圧や肥満の基準、平均的な身長や体重など)。日本人を対象にした日本語論文も検索対象とするよう推奨されています。

申請はオンラインが基本

機能性表示食品を販売する60日以内に、消費者庁に届出を行います。届出は、基本的にはオンラインで行います(最初にユーザーIDを取得するときには書類を郵送する必要があります)。消費者庁内で手続きが完了すると、機能性表示食品のデータベースに登録されます。

届出に必要な書類などは、以下の消費者庁のWebページにまとめられています。

【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について | 消費者庁

販売後も常に情報を集めること

研究レビューで有効性や安全性を評価したとき、注意すべきは「その時点での評価」ということです。もしかしたら将来、有効性や安全性を大きく覆す論文が発表されるかもしれません。論文の内容によっては、機能性表示の撤回、さらには販売中止も検討する必要が出てきます。

重要なのは、「販売までたどり着いたら終わり」ではなく、機能性関与成分に関する情報を常に収集しておくことです。トクホと共通することですが、特に否定的な論文が発表されたときにはメーカーとしてどう対応するのか、事前に決めておくことが求められます。

トクホと機能性表示食品、どちらも慎重に開発を

3回にわたって、トクホと機能性表示食品を開発する際の注意点などを紹介しました。どちらも、論文という客観的なデータをもとに開発する必要があり、自分たちの都合のよい解釈は許されません。制度をしっかりと理解し、特に消費者庁に掲載されている書類などを隅々まで読み、慎重に開発するよう心掛けてください。

*1査読 著者と同じ分野の専門家に論文の内容を評価してもらうこと。

参考資料

【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について|消費者庁

島田 祥輔(しまだしょうすけ)

サイエンスライター 1982年生まれ。名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了。特に遺伝子に興味があり、遺伝子の研究によって医療や生活がどう変わっていくのかに注目している。また、腸内細菌検査サービス「マイキンソー」のオウンドメディア「Mykinsoラボ」の編集長を務める。