トクホと機能性表示食品の違いは? メーカー視点から比較する【保健機能食品 第1回】
2020/07/06
特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品は似て非なるもの。どちらを目指して製品を開発するのか考えるためにも、違いをしっかり理解しておきましょう。
比較図
最初に、トクホと機能性表示食品で特に大きな違いを表にまとめました。

表1 特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品の違い
次に、それぞれの特徴を解説します。
トクホはヒト試験を行い、承認が必要
トクホは1991年の栄養改善法の改正により誕生した制度です。何らかの保健作用をもつ成分(関与成分)を含み、その作用が期待できると謳うことができます。消費者庁が製品ごとに審査し、認可されたものだけがトクホのマークと機能を表示できます。
審査においては、最終製品(商品として販売される状態のもの)をヒトが摂取したときの有効性と安全性の評価データが必須です。特に有効性の評価では、査読※付きの学術雑誌に掲載されていることが条件になります。また、関与成分が最終製品にどれくらい含まれているか、分析試験も試験機関で行われます。
※査読:著者と同じ分野の専門家に論文の内容を評価してもらうこと。
トクホの審査で要求されるレベルの科学的根拠には至らないものの、一定の有効性が確認できる場合には「条件付き特定保健用食品」と分類されます。科学的根拠が限定的である旨の表示を条件として認可され、トクホのマークの上に「条件付き」と付いた、別のマークになります。
パッケージに表示する保健機能は、許可された内容のみ表示できます。例えば、「骨の健康に役立つ」と表示することが許可されたとしても、「骨粗しょう症を予防する」のように具体的な病名や病態改善効果を表示することはできません。

図1 特定保健用食品(トクホ)のマーク
機能性表示食品は届出だけでよい
2015年に施行された食品表示法のもとで導入されたのが機能性表示食品です。消費者庁へ届出を行い、書類などの不備がなければ機能性を表示できます。その代わり、メーカー(製造者または販売者)が安全性や有効性などの科学的根拠を自らの責任で説明する義務があります。
機能性表示食品では、機能性をもつ成分を「機能性関与成分」とよびます。機能性の評価は2種類あります。
ひとつは、トクホと同様、最終製品を用いたヒト試験を行い、査読付き論文を提出する方法です。この場合は「〇〇の成分には△△の機能があります」とパッケージに表示できます。
もうひとつは、機能性関与成分に関する論文をもとに評価する方法です。この論文は、メーカー自身が執筆したものである必要はありません。ただしこの場合、最終製品を使って直接確かめたわけではないので、「〇〇の成分には△△の機能があると報告されています」と、間接的な表現にとどまることになります。
後者は、トクホの横展開にも応用できます。例えばトクホの飲料に含まれている関与成分をチョコレートに使った場合、チョコレートの商品でトクホと表示するためには、チョコレートでもヒト試験を実施して有効性を証明する必要があります。しかし、トクホ飲料の申請で使った論文を根拠に、チョコレートを機能性表示食品として表示することは可能です(ただし、チョコレートの最終製品で成分が残存していることなどを証明する必要があります)。
メーカー視点からの違い
トクホと機能性表示食品の違いは多くありますが、メーカー視点では以下の違いが大きくなります。
・トクホは取得に手間がかかるが国(消費者庁)という第三者からの保証がある
・機能性表示食品の取得は比較的容易だが自社で責任をもつ
どちらのゴールを目指し、そのためにはどの手順で製品を開発すればいいか、しっかりと戦略を練る必要があります。
次回はさらにメーカー視点から、トクホと機能性表示食品それぞれを開発するにあたり注意すること、気になることを掘り下げます。ぜひ楽しみにしていてくださいね。
参考資料
島田 祥輔(しまだしょうすけ)
サイエンスライター 1982年生まれ。名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了。特に遺伝子に興味があり、遺伝子の研究によって医療や生活がどう変わっていくのかに注目している。また、腸内細菌検査サービス「マイキンソー」のオウンドメディア「Mykinsoラボ」の編集長を務める。
