髪のうねり・肌のケアに植物由来の素材を複数商品化 成和化成【Zoom up!企業ニュース】
2025/10/07編集長:最近、髪のうねり用のシャンプーが熱いらしいぞ。
デスク:どうしたんですか、急に。美の探究に目覚めたのですか。
編集長:まあ、そんなところだ。どうも、植物由来の原材料でサステナブルなうねり毛用シャンプーもあるらしい。
デスク:そういえば、うるおいを保つバームでも植物由来というのがあるそうですよ。特派員を送り込んで、報告してもらいましょう。
編集長:そうしよう。目指せ、しっとりお肌、サラサラヘア、エシカル消費!!
デスク:どうしたんですか、本当に…。
植物由来原料を開発してSDGsに貢献
成和化成(大阪府東大阪市)は1958年の創業以来、化粧品原料を開発・製造をしています。
「成和化成は社員の多くが研究・開発に従事しており、国内外の特許出願453件と研究開発に力を入れています。また、2021年には中国・上海に子会社を構えるなど、海外展開にも力を入れている会社です。持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)への取り組みも重視しており、2024年にはフランスのエコバディス社からサステナビリティ評価で『シルバー』の評価も受けています」
こう話すのは、同社営業部広報・企画課の和田優さんです。
近年、同社では植物由来化粧品原料の開発に力を入れており、コメ由来のうねりケア成分「Promois WR-CAQ」や、100%植物由来のオイル「Vistanol GDHR-Pure」などを商品化しています。
うねり毛をコメ由来の化粧品原料で解決
成和化成ではコメ由来のタンパク質を加水分解した、うねり毛用の機能性素材を開発し、「ウェーブキャンセラー」という商標を取得。「Promois WR-CAQ」という製品名で販売しています。
「ここ最近のヘアケア製品を見ると、うねりケアに各社が力を入れているのを感じます。うねりケアには、ダメージ補修が重要です。日本では、美容師の方の情報発信の影響もあり『ダメージ補修にはケラチン』という意識が消費者にも浸透しつつあります。しかし、海外、特に欧米では、動物由来という理由でケラチンは避けられる場合が多いのです。最近は日本でも植物由来原料への意識が高まっており、Promois WR-CAQに興味を持ってもらえることが多いですね」と和田さん。
毛髪が傷むと、内部に水分が入りすぎたり、水分が過度に抜けてしまったりします。毛髪内部の水分バランスが部分的に崩れると毛の断面が丸でなく扁平になり、うねりにつながります。
Promois WR-CAQを使用すると、毛髪の傷んだ部分にコメタンパクが結合してダメージ部分を補修すると同時に表面を疎水化し、毛髪の水分を適度に保ちます。Promois WR-CAQは、分子レベルで、マイナスに帯電している毛髪の傷んだ部分に付きやすいカチオンの部分と、健康的な毛髪と同様の疎水性をもたらす高級アルキル鎖の部分を持っています(図1)。

図1:Promois WR-CAQのうねり改善メカニズム。同製品発売は2024年4月。中国市場にも対応できるようNMPA*1登録済み」と和田さん
(画像提供:成和化成)
「ダイズ、エンドウ、コムギなど他の植物タンパク質に比べて、コメタンパクにはサラサラ感を演出できる特長がありました。食用に適さない未利用資源として廃棄されるコメを原料に使い、アップサイクルをしています」と和田さんは説明します。
使用対象はシャンプー、コンディショナー、ヘアミストなどヘアケア製品全般です。うねり改善について、図2に示すような効果を得られています。

図2:Promois WR-CAQのうねり改善効果。曲率半径が長いほどうねりが小さい
(画像提供:成和化成)
2種のオイルの代替となる100%植物由来のオイルを実現
成和化成は100%植物由来の化粧品原料オイルを開発し、商品化してもいます。「Vistanol GDHR-Pure」という製品で、欧州の化粧品コンサルティング企業によるBSB Innovation Award 2025の機能性原料部門2位を受賞しました。ファンデーション、リップ、アイシャドー、ヘアケア製品などに採用され商品化されています。
「動物由来のラノリンまたは、化学合成由来のジメチコンのどちらかの植物代替オイルはありますが、両方のオイルの代替として使える100%植物由来オイルというこれまでにない点が評価されています」と和田さん。
ラノリンはヒツジの毛から得られる常温で固体の脂で、保湿やツヤ出しのためにリップやバームなどに配合されます。ジメチコンは化学合成由来のシリコーンオイルで、さらりとした手触りであることからヘアオイルやコンディショナーに配合されています。
「Vistanol GDHR-Pureはヘアケアにもスキンケアにも使えます。ニキビの原因ができにくい成分かを評価するノンコメドジェニックテストを実施し、ニキビのもとになりにくいということが確認できています。また、中国市場向けにもお使いいただけるようNMPA登録もあります」と和田さんは説明します。
ツヤと質感については図3に示すような効果が得られています。「受賞を機にサンプル依頼が増えました。ジメチコンは、すべりをよくするなど、感触改善に優れた原料です。Vistanol GDHR-Pureは、100%植物由来でジメチコンと同様もしくはそれ以上の良好な手触りを確認しております。実際に触っていただいて『べたつきが少ないのに、存在感を感じる』という評価が得られています。植物由来のオイルでこのような手触りを出せるものはなかなかありません」と和田さんは反響の程を説明します。

図3:Vistanol GDHR-Pureの性能評価。同製品は国際化粧原料展in-cosmetics Asia 2024において革新的な化粧品原料を評価するin-cosmetics Asia 2024 Innovation Zone Best Ingredient Award でトップ10 に選出された
(画像提供:成和化成)
今後も、さまざまな植物由来の化粧品機能性素材が開発されるかもしれません。「植物由来」は引き続き、この分野の注目の的になりそうです。
注釈
*1:NMPA
・中国国家医薬品管理局。正式名称はNational Medical Products Administration。
村上 華子(むらかみ はなこ)
早稲田大学大学院応用化学修了、社会人経験後、早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラムを修了。LION株式会社の技術ジャーナル、NEDO実用化ドキュメント、計算基礎科学連携拠点の月刊JICFuSなどで研究紹介取材記事を執筆。工学・化学・計算科学・生物学を中心に執筆。
