人手不足や納期問題…品質管理に悩む企業を試験・分析で支える ― 安全性研究センター【和田ほのか通信】

2025/09/09
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Chematels編集部の和田ほのかです。普段はメールマガジンの担当をしていますが、インタビュー記事の執筆にも挑戦しています。今回は、2025年7月9日から11日まで、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「第27回インターフェックスジャパン」から。医薬や化粧品を製造・研究に関係する製品・サービスが集まり、3日間で3万3000人を超える来場者数を記録しました。賑わう会場のなか訪れたのは、分析・環境調査を行っている安全性研究センター(富山県富山市)のブースです。圧縮空気測定や医薬品等関連試験など、同社がイチオシするサービスを紹介します。ぜひ最後までお読みください。

安心安全を証明するための測定を

安全性研究センターは、医薬・化粧品に関連する製剤試験や原料試験、また、水・空気やガス・土・においや音などのさまざまな環境分析を行っています。これらの試験や分析は私たちの衛生的で安心・安全な生活に欠かせません。とくに医薬品・化粧品・食品は、命や健康に直接関わるものなので安心・安全は基本中の基本といえます。品質の怪しい原料を使っていたり、汚い工場で作っていたりしていたら、魅力的な製品だとしても使いたくないですよね。消費者からの信頼を守り、ブランドの価値を向上させるために、製造業にとって品質管理は重要な事柄です。

しかし、規制が厳しくなり手間がかかる、品質管理の現場では人手不足やコスト削減といった課題に多くの企業が直面しています。このような企業の品質管理試験の委託先として、安全性研究センターは経験と実績を積んできました。

「近年、圧縮空気測定に関する問い合わせと、医薬品や化粧品、食品の原料試験に関する問い合わせを多くいただきます。とくに圧縮空気測定は年々件数が増えているのでニーズが高まっているのではないでしょうか」と、営業部の沓掛渉さんは語ります。

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図1:安全性研究センター営業部の沓掛渉さん。安全性研究センターのブースにて
⁠(筆者撮影)

見えづらい品質リスク「圧縮空気」を測定

圧縮空気と聞くと、機械を動かすための動力源を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。品質管理の対象として測定するものであることはあまり知られていません。この記事で取り上げる圧縮空気は、製品に直接または間接的に触れるクリーンな環境での製造が求められる医薬・化粧品・食品業界で、原料のかく拌・混合・粉砕や、包装容器や製造ラインの洗浄などの用途で使われるものです。無色透明で汚れていないように見える空気ですが、検査する規格が定められているのです。とくに直接製品に触れる圧縮空気は製品の品質にも影響を及ぼす可能性があるため、品質管理を厳しく行う必要があります。

圧縮空気の清浄度を測る試験や評価の方法は、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)や日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standard)に記載されています。ほこりや錆、粉塵などを測る「粒子数」、空気中の水分量を測る「露点温度」、コンプレッサーオイルなどの油分を測る「オイル」、細菌やカビなどの汚染源が含まれているかを測る「微生物」の4つの測定項目があり、安全性研究センターは「JIS B8392-1」に準拠した、粒子数、露点温度、オイル、微生物の試験を行っています。

粒子数、露点温度、オイルの評価については、図2の等級に分けられますが、微生物については明確な等級は規定されていません。同社は微生物に関する評価基準として、「第17改正日本薬局方」に記載されている無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法の基準値を参考にしています。

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図2:試験項目と清浄度等級
⁠(画像提供:安全性研究センター)

「監査や査察などで指摘を受けたからという理由でお問い合わせをよくいただきますが、ほかに多いのが、管理基準を決めるために製造ラインを新設・変更するタイミングでベースラインの品質を確認したいといったご要望です」と沓掛さん。リスクが顕在化する前に先手を打とうとする、企業の品質意識の高さがうかがえます。

ほかに、食品の安全性に関する国際規格「食品安全システム認証22000」(FSSC22000:Food Safety System Certification 22000)を取得するため測定したい、という理由の問い合わせもあるとのこと。国際的な取引における信頼向上を意識した動きもあるのだと感じました。

このように圧縮空気の清浄度の重要性が広まり、ニーズが高まりつつありますが、日本で圧縮空気の測定を行っている分析企業はそう多くありません。同社では専門スタッフがサンプリングから測定まで一貫して行っています。これまで250箇所以上の測定実績があり、富山県内外問わず直接現場を訪問します。「ご要望があれば日本全国どこでも駆けつけて『見えないリスク』を可視化するお手伝いをします」と沓掛さんは話していました。

医薬品業界の品質管理を数々の試験で支える

安全性研究センターが展示ブースでもう一つアピールしていたのが医薬品関連試験です。医薬品の製造および品質管理に関する基準に「医薬品適正製造基準」(GMP:Good Manufacturing Practice)がありますが、同社は、富山県厚生部薬事指導課GMP適合試験検査機関として理化学試験、微生物試験、精製水試験や中長期検体保管試験を行っています。とくに医薬品や健康食品などの原料試験で行う理化学試験においては、数百項目の試験実績があります。日本薬局方、医薬部外品原料規格、医薬品添加物規格、食品添加物規格など、さまざまな規格による試験に対応しており、顧客独自の社内規格に対応することも可能です。

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図3:医薬品関連試験の実績の展示
⁠(筆者撮影)

近年の医薬品のグローバル化に伴い、同社は米国薬局方(USP:the United States Pharmacopeia)や欧州薬局方(EP:European Pharmacopoeia)など海外の規格にも対応できるよう備えています。これらの規格にはさまざまな試験項目が含まれ、各試験に必要な機器や試薬も試験者に必要なスキルも多種多様。機器や試薬の維持管理、ベテラン試験者の確保、若手の育成などが企業の課題となっています。原料試験の遅滞から製造ラインの停止、製剤試験の遅滞から出荷の停止が生じかねません。こうした意識から、人手や試験機器の不足から安全性研究センターへ試験を依頼する顧客が多いそうです。

自社で間に合わない試験を補うために外部に試験を委託することは一般的ですが、委託先も機器と試験者の数に限りがあるため時間がかかることもあります。同社は、最短10営業日の納期で対応できるようスタッフが協力しあっています。例えば、タルクの日本薬局方全項目で納期10営業日を目安にしているとのこと。「試験内容や全体の受注量によって納期が変わる場合はありますが、ご依頼企業の力になりたい気持ちで、一日でも早く結果を報告できるよう進捗管理を徹底しています」と、沓掛さんは話します。

試験機器と担当者を増強、悩みを持つ現場に力添え

安全性研究センターは2023年1月に拠点を移転した際、試験機器と試験担当者を増やしました。沓掛さんは、「検体の受け入れ数を増やせるようになったので、より多くの企業を支え、これからも薬都・富山で経験と実績を積んでいきたい」と展望を語ります。

移転後の試験機器導入で、液体クロマトグラフタンデム型質量分析計(LC-MS/MS:Liquid chromatography-Mass spectrography / Mass spectrography)、ウォークインチャンバー、溶出試験機を使った試験も可能となりました。発がん性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS:Per- and Polyfluoroalkyl Substances)の分析、製剤の長期保存試験や加速試験などの安定性試験、また溶出試験など、対応できる試験の幅を広げました。

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図4:安定性試験・製剤試験の実績、および設備機器の展示
⁠(筆者撮影)

品質管理に関する悩みは、企業よってさまざまです。今回の取材を通して、医薬品や化粧品の品質管理の現場が、どれだけ複雑で高度な課題に直面しているかを改めて実感しました。

そして悩みを持つ現場に力添えをしたいと、展示ブースで訪問者一人一人の課題に寄り添うスタッフの姿が印象的でした。

薬都・富山で培われた技術が、これからも多くの企業の品質管理と価値向上を支えるパートナーとなるでしょう。

関連サイト

株式会社 安全性研究センター https://www.anken.net/

和田 ほのか(わだ ほのか)

工業薬品・工業材料・合成樹脂原材料を取り扱う金森産業グループに所属し、営業を経験し、現在はChematels編集部で奮闘中。Chematelsのメルマガを担当し、ライターとしてデビューしました。まだまだ駆け出しですが、読者の皆さまに役立つ情報をお届けできるよう、日々勉強中です。フレッシュな視点で業界の魅力や最新情報を発信していきます。