大豆の麹菌発酵でサプリ素材を開発! ニチモウグループ「魚の餌」からの挑戦【和田ほのか通信】

2025/06/17
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Chematels編集部の和田ほのかです。普段はメールマガジンの担当をしていますが、今回、初めてインタビュー記事の執筆に挑戦しました。ぜひ最後までお読みください。

スーパーマーケットなどで豆乳飲料のコーナーが拡大しているのを見ると、健康志向の高まりを感じます。ニチモウバイオティックス(東京都港区)は、大豆の力を最大限に引き出すために、独自の発酵技術、製造工程、品質規格を駆使して「アグリマックス」や「イムバランス」などのサプリメント・食品用途の素材を開発しました。代表取締役社長の北谷明大さんに「魚の餌」づくりから始まったという同社製品の開発ストーリーと展望を取材しました。

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「魚の餌」をきっかけにサプリ・食品の素材を開発

親会社のニチモウは創業115周年を迎えた水産専門商社です。魚網の製造・販売事業から始まり、水産資源を利用した食品事業、魚を加工する機械事業など、時代の変化に合わせて、海をフィールドにさまざまな分野で展開してきました。

事業が広がるなかで養殖事業にも取り組み、魚の餌用のイワシの価格高騰に伴い、代わりとなるタンパク源を探す必要がありました。「そこで目をつけたのが大豆でした。私どもニチモウバイオティックスの設立につながるバイオ事業の研究の始まりでした」と、代表取締役社長の北谷明大さんは語ります。

イワシを餌とする肉食系の魚は一般的に腸が短いため、大豆をそのまま与えられても栄養をうまく吸収することができません。魚が吸収しやすい状態に大豆を処理する必要があり、麹菌を使って発酵させる方法を選んだところから、同社の発酵技術の研究がスタートしたのです。

手間の掛かる工程となったため大豆を魚の餌にすることはできませんでした。しかしながら、大豆を麹菌で発酵させる技術を生かして、人が摂取する健康食品の成分として製品化を実現させたのです。

アグリコン型イソフラボン配合の「アグリマックス」を発売

ニチモウバイティックスが業務上、関わりの深かった漁師たちの奥さんの更年期障害を改善しようとして開発したのが、発酵大豆麦芽抽出物「アグリマックス(AglyMax)」です。植物性エストロゲンとも呼ばれ、ホルモンバランスの調整や抗酸化作用、骨の健康維持などに寄与すると注目されている「イソフラボン」を33%以上、含有しています。

同社は独自の発酵技術と製造工程を確立し、イソフラボンの種類のなかでも「アグリコン型」の素材を開発し、1999年に「アグリマックス」として製品化したのです。

イソフラボンは分子構造の違いで、糖が結合しているグリコシド型と、糖が外れているアグリコン型に分けられます。豆腐や納豆に多く含まれるグリコシド型は腸での分解を経ないと体内に吸収されません。その分解の担い手である腸内細菌には個人差があるため、イソフラボンの吸収性にはバラツキが出てしまいます。対して、同社が製品化したアグリコン型は、吸収を妨げていた糖の部分が発酵により外れているため腸内細菌の働きに関係なく、胃や腸から素早く効率的に吸収されます。

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図1:大豆イソフラボンの分類。U/gは「1グラムあたりのユニット」の意味で、1ユニットはテトラゾリウム塩(WTS:Water soluble tetrazolium salts)還元の50%阻害を示すサンプル溶液20μLに含まれる超酸化物不均化酵素(SOD:Superoxide dismutase)量と定義されている
⁠(画像提供:ニチモウバイオティックス)

2011年には健康食品の品質保証の一つ「原材料ハイクオリティ認証」を取得し、この制度に基づく品質管理により同製品を生産しています。

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図2:エストロゲンとアグリコン型イソフラボンの分子構造比較

アグリコン型イソフラボンは、女性ホルモンとも呼ばれるエストロゲンとよく似た分子構造をしており、摂取すると体内でエストロゲンと似たような働きをすると考えられています。女性は更年期、エストロゲンの減少で、ホットフラッシュ、のぼせ、冷え、肩こり、めまい、頭痛、イライラ、不眠などの症状がある更年期障害を引き起こします。更年期以外でも、ホルモンバランスが不安定になる排卵や月経前後に腹痛、眠気、むくみ、肌荒れ、食欲不振など、さまざまな症状が表れます。その点、アグリコン型イソフラボンはホルモンバランスの乱れが原因で起こるさまざまな症状に対し、エストロゲンのような作用をもたらすと見られているわけです。さらに、骨粗しょう症の予防や、妊娠しやすい体づくりの促進といったエストロゲンの幅広い作用もアグリコン型イソフラボンの摂取で得られると期待されています。

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図3:アグリマックスの訴求ポイント
⁠(写真提供:ニチモウバイオティックス)

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食生活の欧米化が進んだいまの日本では、豆腐や納豆、味噌などの大豆からつくられる食品の摂取量がやや減少傾向にあります。アグリマックス配合のサプリメントを取り入れることで効率よく大豆イソフラボンを補う方法は、現代のスタイルに合っているのかもしれません。

免疫のバランスを整える「イムバランス」「発酵きなこ」も上市

ニチモウバイオティックスは、麹菌で発酵させた脱脂大豆を殺菌し、粉砕した麹菌発酵大豆培養物「イムバランス(ImmuBalance)」も2010年より発売しています。

同社は、発酵の過程で生じる植物性乳酸菌、食物繊維、オリゴ糖、ペプチド、麹多糖などの有効成分の活用を目指してきました。特に、麹多糖は単体の脱脂大豆や麹菌には含まれておらず、同社が培ってきた大豆の麹菌発酵によってこそ新たに生み出せた成分です。

これらの成分に対して同社が注目している有効性とは、善玉菌などの有用な腸内微生物「プロバイオティクス」と、その善玉菌の餌となるオリゴ糖や食物繊維などの成分「プレバイオティクス」、そして腸内微生物を介さずに人の体に作用する成分「バイオジェニックス」の三つの作用です。これらが相乗効果によって優れた健康効果を発揮すると見ています。

なかでも期待しているのが、ヘルパーT細胞という免疫細胞の反応バランスを整え、アレルギー体質を改善する効果です。同社はアトピー性皮膚炎や花粉症、食物アレルギーに特化した試験データを持っており、日々、データの拡充を続けています。花粉症予防効果の臨床試験において有効性を確認し、花粉症改善素剤として用途特許も取得しています。製品名「イムバランス」も、「免疫(Immune)のバランス(Balance)を整える」という意味を込めたものです。

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図4:イムバランス摂取での生理活性物質の分泌量変化。過剰になっているヘルパーT2系の分泌量を低減し、ヘルパーT1系の分泌量を増加させる。マウスでの実験結果
⁠(画像提供:ニチモウバイオティックス/出所:Clinical and Experimental Allergy 38:1808-1818, 2008で発表した内容をもとに同社作成)

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同社は大豆を麹菌で発酵させる技術を、「発酵きなこ」という食品素材の製品化にも生かしました。「イムバランス」と同じ工程で製造していますが、お菓子に混ぜたり、食事に「ちょい足し」したりして、普段の食事から少しずつ健康に有用な成分を摂取する、というコンセプトで製品化したものです。いろいろな食品から少しずつ摂取することで、大人1日0.5グラムという同グループ推奨の摂取量を自然と摂れるようにすることがねらいです。

「消費者に正直に、科学的根拠に基づいた製品を」

「更年期障害の症状改善をテーマにしたサプリメントのパイオニア的存在として、私たちは消費者に対して正直であり、製品の品質や効果について科学的根拠に基づいて情報提供する企業であることを心がけています。製品開発においても、消費者の声を大切にし、実際に効果を感じられる製品づくりを目指しています」(北谷さん)

ニチモウバイオティックスは今後、機能性表示の取得や新製品の研究開発を進め、人びとの健康をサポートする製品ラインナップを充実させていく予定です。特に、女性の健康や更年期障害の改善に寄与する製品の開発に力を入れており、多くの女性が健康で快適な生活を送れるよう支援していきます。

また、皮膚外用剤として化粧品の製品開発も進めており、消費者が体の内側からも外側からも大豆発酵成分で健康維持や病気予防できる未来を描いています。

これからも同社の取り組みに注目し、その成果を楽しみにしていきたいですね。

和田 ほのか(わだ ほのか)

工業薬品・工業材料・合成樹脂原材料を取り扱う金森産業グループに所属し、営業を経験し、現在はChematels編集部で奮闘中。Chematelsのメルマガを担当し、ライターとしてデビューしました。まだまだ駆け出しですが、読者の皆さまに役立つ情報をお届けできるよう、日々勉強中です。フレッシュな視点で業界の魅力や最新情報を発信していきます。