安定供給も温室ガス量計算も可能なバイオグリコール販売 カネダ 【Zoom up! 企業ニュース】

2023/11/16
Image

編集長:地球温暖化が止まらないなあ。これからはサステナブルな原料をもっと使って製品を作っていかなくちゃな……。

デスク:そうですね。サステナブル原料に徐々に切り替えていく企業も多くなってきました。

編集長:だけど何を使うかが問題だ。せっかく製品を開発して生産が軌道に乗ったのに、「原料が供給されてきません…」となったら大損害だものな。

デスク:そういうことが起こらないように商社がいるんじゃないですか。

編集長:しょうしゃ~!(そうか~!)

デスク:……だいぶ苦しいですよ。じゃあ、商社に話を聞いてみましょう。まだ日本で普及していない「バイオグリコール」の日本国内販売代理店を務めるカネダにライターを派遣して取材してもらいましょう。

Image

老舗専門商社がサステナブル原料を国内販売

バイオグリコールは、アルコールの一種であるグリコールを生物由来の原料でつくったものです。バイオグリコールの製品の一つが、「Susterra®プロパンジオール」。これは、米プリミエントコベーション社が生産する100%植物由来の1,3プロパンジオールです。油を中心に多種多様な商材を取り扱う専門商社のカネダ(本社東京都中央区)は2021年4月、Susterraプロパンジオールの日本国内向け販売の総代理店として、デュポンテイト&ライル社(現:プリミエントコベーション社)と契約を締結しました。

一体、Susterraプロパンジオールとは、どのような材料なのでしょうか。カネダ油脂化学品グループの南日迪郎さんは、次のように説明します。

「Susterraプロパンジオールは、プロピレングリコールやエチレングリコール、1,4ブタンジオールとの代替が可能です。ウレタン樹脂の原料や、自動車のエンジンなどを冷却するのに使われる不凍液に用いることができます。他にも不飽和ポリエステル、塗料、熱媒体油などの用途が想定されます。実際に私たちが取り扱った例として、塗料やインク、接着剤としての採用がありました」

Image

図1:Susterraプロパンジオールの用途
⁠(資料提供:カネダ)

安定供給と温室効果ガス排出量計算が可能という強み

植物性原料やサステナブル素材の開発研究は地球規模で取り組むべき喫緊の課題として、各国で盛んに進められています。しかし、大量生産の体制が整っていない素材も多く、安定した供給を保てなければ、サステナブル材料を導入することはできません。

その点、Susterraプロパンジオールは、バイオケミカル製品として最大規模の工場で生産されており、安定供給が可能です。

Image

図2:Susterraプロパンジオールの製造
⁠(資料提供:カネダ)

「もともとSusterraプロパンジオールは米国の化学メーカーのデュポン社が開発した製品です。デュポン社が自社の樹脂製品であったポリトリメチレンテレフタレート(PTT:Polytrimethylene Terephthalate)の原料としても使っていたため、現在では生産能力が年間9万トン弱ほどの供給が安定しているバイオケミカル製品なのです」(南日さん)

また、生産から製造、流通までの工程が管理されているため、サプライチェーン全体での二酸化炭素(CO2)排出削減量を数値として算出できるという強みもあります。

下の図は、Susterraプロパンジオールとよく似た用途で使うことが多い1,4-ブタンジオールとの、生産過程で排出される温室効果ガスの量を比較したグラフです。Susterraプロパンジオールは、1,4-ブタンジオールに比べて、温室効果ガス排出量が48%少ないことがわかります。

Image

図3:温室効果ガス排出量の比較
⁠(資料提供:カネダ)

2021年からの取り扱い以来、Susterraプロパンジオールの販売量は少しずつ増えてきていると南日さんは話します。新たな取引先が増えるだけでなく、すでに購入している企業で、さらに購入量を増やすケースもあるともいいます。

「2023年10月に東京で行われたサステナブル マテリアル展(SUSMA)では、前年に引き続き Susterraプロパンジオールを紹介させていただきました。全体の来場者数は昨年同様という公式発表でしたが、当社ブースを訪れてくれた人は昨年よりも多く、関心の高まりを感じました」

用途はまだある! 地球に優しいだけでない付加価値を

Susterraプロパンジオールの利点は、環境に優しいだけではありません。100%植物由来原料で製造工程のCO2排出量が少なく、さらに低毒性、熱安定性、低腐食性などの優れた特長も持っています。

「不凍液であれば、既存の石油製品と単純に置き換えて採用することができますが、他の成分と合わせて使う場合は、ただの置き換えでなく、組成から考え直す必要があります。そこにはコストや手間がかかってしまうのですが、Susterraプロパンジオールならではの特長を活かすことができれば、新たな付加価値も生み出せる製品だと思います」(南日さん)

また、カネダはカシューナッツシェルリキッドの取り扱いにも注力しています。廃棄されるカシューナッツ殻の油分から製造するオイルで、環境負荷の低減に貢献する材料です。古くからある素材で、船底の塗料や接着剤の原料として使用されています。天産物でありながら、アルキルフェノール骨格を持つ独特な構造をしており、様々な誘導体が生産されています。

「ブロパンジオールもカシューナッツシェルリキッドも、私たちの予想していない用途がまだまだ存在しているだろうと考えています。それには、サステナブル商材の存在を広く知ってもらうことが必要ですね。少しでも気になってくれた方がいたらお気軽に問い合わせてもらえたらと思います」(南日さん)

カネダの創業は1905(明治38)年。最初は油の販売と両替商から始まりました。当時の油といえば、植物から採られたものです。そういった意味では、カネダは植物由来の原料と付き合い続けてきた会社といえます。その知見が100年の歴史を経て環境保護に活かされているのです。

「サステナブル材料への切り替えは、なかなかすぐには進みません。しかし、近い将来、必ずやらなくてはならない課題です。そのときに適切な選択肢があることは重要です。私たちが専門商社として、そのお手伝いをできればいいなと思っています」(南日さん)

Image

寒竹 泉美(かんちくいずみ)

理系ライター・小説家 九州大学理学部化学科卒業後、京都大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。小説を書く傍ら、理系ライター集団チーム・パスカルに所属し、研究者インタビューや理系企業のオウンドメディアを中心に執筆している。