小規模事業者は何をやるべきか?【今からでも知っておきたいHACCP制度(後編)】

2021/05/25

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2021年6月から、食品業界は大きく変わります。「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化」が行われるためです。本シリーズでは改めて、制度のポイントと具体的にやるべきことをおさらいします。

後編では、小規模事業者に注目して、HACCPの取り組み方を紹介します。

具体的な取り組み方「ちゃんとやったことを記録として残す」

前編では、食品製造事業者を大規模事業者と小規模事業者に分けること、また、そのうち小規模事業者はHACCP簡易バージョンのような「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に取り組むことを紹介しました。

ただし、小規模事業者にとっては「いきなり宇宙食レベルの衛生管理を求められても……」と困るかもしれません。そこで厚生労働省のウェブページ「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00007.html)」には、各業界団体による手引書が公開されており、テンプレートにしたがって記録用紙などを簡単に作成できるようになっています。

では、具体的に何をすればいいのでしょうか。ここでは上記の手引書のうち一例として、「辛子めんたいこ小規模事業者向け(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000650944.pdf)」を取り上げます。

一般的な水産物では、食中毒を引き起こすアニサキスや腸炎ビブリオへの対策が必要です。しかし、辛子めんたいこの原料は冷凍された状態で入荷されるため、そのリスクを想定する必要はありません。その一方で、原料の解凍時間や品温の基準を決めて遵守すること、また、明るい色を出すための食品添加物である亜硝酸根(亜硝酸イオン)の上限使用量を超えないことなどが求められ、これらは重要管理点となりうるものです。このように、業界の事情に特化した危害分析と重要管理点が明確に書かれています。

もちろん、一般的な食品製造で求められる金属・毛髪混入対策、手洗い、そ族(ネズミ)・害虫対策、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)、廃棄物管理なども必要です。

こうしたことに関する計画を事前に立て、記録として残すことが最大のポイントです。解凍後の品温、亜硝酸根の使用量と残存量、作業場に入るときの粘着ローラーと手洗いなどを毎回、作業員ごとにすべて記録します。

「ちゃんとやる」のではなく、「ちゃんとやったことを記録として残す」ということが、HACCPの考えでは重要です。記録することで、個人レベルの勝手な判断ができなくなり、それが製品の安全を保障することになります。

罰則は都道府県レベルの条例で規定できる

HACCPの取り組みを行わなかったときの罰則について、食品衛生法では直接は規定していません。しかし、第50条の2には、「都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について(中略)条例で必要な規定を定めることができる」とあります。つまり、都道府県レベルで罰則を規定できるようになっています。そのため、詳細については各地の保健所などに問い合わせるのがよいでしょう。

HACCP取り組みに役立つおすすめ製品

最後に、HACCPに取り組む上で役立つソリューションや製品をご紹介します。詳細は金森産業までお問い合わせください。

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図 各種ソリューション・製品を利用したHACCPの取り組み例

防虫対策コンサルティング(丸三製薬バイオテック)

http://www.03biotech.com/consulting/pesticide/

防虫対策はモニタリングに始まりモニタリングで終わります。トラップや紫外線照明だけでなく、殺虫効果のあるネットなども用意されています。

食物アレルゲン検査キットシリーズ(森永生科学研究所)

https://www.miobs.com/product/tokutei/

HACCPではアレルギー対策も必要です。原材料や洗浄後機器のアレルギー残留を簡単に検出できるキットなどがあります。

簡易食中毒菌検査キット STチューブ(スギヤマゲン)

https://www.sugiyama-gen.co.jp/publics/index/268/

簡単な操作で、色の変化により食中毒の原因となる菌の有無を調べることができます。手指の黄色ブドウ球菌検査や、まな板や包丁など調理器具の大腸菌・大腸菌群検査などで使用例があります。

厨房・食品工場向け商品(ABC商会)

https://www.abc-t.co.jp/products/facility/foodfactory/

塗り床やシート床材などを扱っています。床の破損は、微生物の繁殖や腐食の原因になるだけでなく、破片が飛んで異物混入の原因にもなりえます。衛生管理のためにも清潔で傷のない床を導入しましょう。

島田 祥輔(しまだしょうすけ)

サイエンスライター 1982年生まれ。名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了。特に遺伝子に興味があり、遺伝子の研究によって医療や生活がどう変わっていくのかに注目している。また、腸内細菌検査サービス「マイキンソー」のオウンドメディア「Mykinsoラボ」の編集長を務める。