環境配慮を「価値」と位置づけ、化粧品包材で形に【化粧品開発展2021レポート】

2021/04/27

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2021年1月、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催された「第11回化粧品開発展 東京」では、セミナー「サステナブル化粧品の最前線 〜CSRとSDGsの観点から〜」が実施されました。化粧品包装の各種製品を手がける大日本印刷株式会社(DNP)のセミナーでは、環境配慮の取り組みを「価値」とする考えと、それを具体化した植物由来包材や紙製容器などの製品シリーズ「GREEN PACKAGING」の展開事例が示されました。環境配慮を企業戦略とする姿勢が明確に打ち出されたセミナーとなりました。

環境配慮を「提供価値」と位置づける

「サステナブル化粧品の最前線」セミナーは同展の主催者リードエグジビションジャパンが企画したもの。DNPからは包装事業部の環境ビジネス推進グループリーダー柴田あゆみ氏が登壇し、「化粧品包装に必要な環境配慮とは?」というテーマで講演しました。

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大日本印刷株式会社 包装事業部マーケティング戦略本部事業開発部環境ビジネス推進グループ リーダー 柴田あゆみ(しばたあゆみ)氏

柴田氏は、環境省が策定した「プラスチック資源循環戦略」におけるリデュース・リユース・リサイクルなどの2025年〜2035年のマイルストーン6項目に対し、「容器包装はすべてに関わる」とし、化粧品などの包装材が循環型社会実現に重要な役割を果たすことを強調しました。

その上で、DNPの包装事業では「資源の循環」「CO2の削減」「自然環境の保全」を、「3つの提供価値」と位置づけ、パッケージのライフサイクルを推進させるためにこれらの要素を包含する「エコシステム」の構築を目指していると柴田氏は紹介しました。「地球規模の循環と資源の循環の二つをともに大きくしていくことが、われわれのポリシーであり戦略です」(柴田氏)。

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図1 DNPが構築を目指す「パッケージのライフサイクル」(資料提供:DNP)

「業界のスタンダードに」戦略の側面も

これら提供価値の考えを具体化したものとして、柴田氏は「GREEN PACKAGING」シリーズを例示します。

シリーズラインナップの中でも重点的な紹介があったのが、DNPが2010年より開発に着手した植物由来包材「バイオマテック」。企業による採用件数は1200アイテムを超え、CO2削減効果も2018年度で約2500トン、2019年度では約3000トンと高まっています。柴田氏は、「だれもが技術を使えるようにして業界のスタンダードに」というねらいから特許の開放を進めていることも強調。「戦略」の側面がうかがえます。

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図2 DNPが展開する「バイオマテック」の5つの強み

「GREEN PACKAGING」関連ではほかに、2021年1月より軟包装用グラビアインキをバイオマスインキに切り替え始めたことを発表。国内全工場で切り替えを進め、年間800トン以上のCO2削減効果を見込みます。

また、プラスチック製品の一部に紙製容器を活用した包材を製品展開していることも柴田氏は紹介しました。紙のもつ魅力として、再生可能資源であることや、リサイクル適性が高いこと、生活者がエコ素材のイメージをもっていることなどを挙げました。

「環境配慮を選べる社会」を目指す

最後に柴田氏は、「(製品群から)生活者が環境配慮を選択できる段階まで至っていない」ことを業界の課題に挙げ、環境配慮型製品のより一層の拡充が必要であるとの考えを示しました。「生活者とつなぐという点でパッケージの果たす役割は大きい。ぜひ環境に配慮したパッケージを生活者が自然に選べる社会をつくりたい」と締めくくりました。

化粧品開発展の会場を巡回したところでは、出展企業による環境配慮型の製品・材料の展示はちらほらと見かける程度。現状では、大手企業によるサステナビリティの取り組みが、化粧品業界全体を牽引するモデル的な役割を担っているといえそうです。

【情報提供】

大日本印刷株式会社 https://www.dnp.co.jp/

漆原 次郎(うるしはら じろう)

フリーランス記者・編集者、Chematels副編集長 神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌、経済誌、ウェブニュースなどに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム(MAJESTy)修了。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。