生分解性多層パッケージフィルム「TF-BIO」は サステナブル時代の強力な味方になる!
2021/03/30
2020年11月、「第22回インターフェックスWeek 東京」とともに開催された「第5回 ドリンク ジャパン - [飲料][液状食品] 開発・製造 展 -」。数々の出展企業の中からChematelsが注目の企業を直撃取材しました! 今回、紹介するのは、環境対応資材である生分解性多層パッケージフィルム「TF-BIO」を販売する椿本興業です。担当者の平松英さんに話を伺いました。

椿本興業株式会社 開発戦略本部 テクノマテBD<br>平松 英(ひらまつ すぐる)氏
——「TF-BIO」とはどのような製品ですか。
平松氏(以下、略):TF-BIOは、バイオマス(植物由来)かつ生分解性のフィルムで構成された多層パッケージフィルムです。特徴は、バリア性とヒートシート性を有する多層構造であることです。

図1 TF-BIOの資材構成、特徴、素材イメージ(画像提供:椿本興業)
主なターゲット分野は食品業界や化粧品業界、製薬業界、化学業界ですが、食品や化学製品の包装においては高いバリア性とヒートシール性が求められます。この要求性能に対応するためには単層フィルムでは難しく、多層パッケージフィルムというコンセプトを念頭において開発が始まりました。食品包装を想定して、食品衛生の認証も取得しています。
当社では海洋プラスチック問題や、プラスチックごみの廃棄問題など、昨今の環境問題に対応するサステナブルパッケージ商品を拡充しており、生分解性という点も、インターフェックスWeekに来場された多くの方が注目しているという印象を受けました。
——TF-BIOを開発するきっかけは何だったのでしょうか。
当社は今年(2021年)で創業105年目を迎えた機械の専門商社で、私は産業資材を扱う事業部に所属しており、紅茶のティーバッグやドリップコーヒーバッグを製造する機械や包装資材を取り扱っており、欧米のお客さまも多くいます。欧米では環境に対する意識が非常に高く、ティーバッグのフィルターなどがこの5年くらいで植物由来、かつ生分解性の素材に変わってきています。ティーバッグだけでなく、それをさらに包む外装パッケージも近い将来、植物由来、かつ生分解性の素材が求められるようになるだろうと考え、4年ほど前から開発を始めました。
当時、国内では環境に対する意識はさほど強くなく、試作や生産テストがうまくいかないときには社内でも様々な意見がありました。ただ、資材メーカーと機械メーカーの協力、そして同僚や上司の支えもあって、販売を開始することができました。

図2 TF-BIOを用いたパッケージ(写真提供:椿本興業)
——TF-BIOは現在どのような場面で採用されていますか。
当社が以前から付き合いのある欧米の飲料メーカーで採用が始まり出しています。小売店向けの製品用というよりは、マーケティングや広告用として一部の商品で使われ始めているようです。
——国内ではいかがでしょうか。
食品メーカー、化粧品メーカーでご検討いただいているところが多数あります。自社の製品を包装し、水分や二酸化炭素に対するバリア性能や賞味期限、使用期限について検証していただいている段階です。生分解フィルムは、ある特定の環境下では耐久性が低下する可能性があるので、各社が想定する保存環境でテストしていただいています。
国内では生分解性というよりも、植物由来や紙へのシフトというところが直近のニーズであるように感じています。レジ袋の有料化が義務付けられたことで、従来のポリ袋から義務対象外であるバイオマスポリ袋や紙袋に代えるところが増えています。その次の段階として、使用されるプラスチックを石油由来から植物由来かつ生分解性に代えようとする動きがあります。その選択肢としてTF-BIOを検討していただければ、私たちの商品が市場にも認められていくと考えています。
長期的な展望としては、やはり生分解性は重要なキーワードになるはずです。環境負荷軽減やサステナブルと呼び掛けられているゴールに向かって、各社何かしら対応していく必要が今後あると思います。
——どのようなメーカーに検討してほしいと考えていますか。
前述の食品や化粧品をはじめ、あらゆる業界で採用されることを期待しています。紅茶やコーヒーといった嗜好品もしくはオーガニック食品などを好まれるエンドユーザーの中には環境意識の高い人が多いので、まずはそういったお客さま向けの商品から検討していただけるとよいかと思います。
また、国内よりも欧米の方が環境問題や対策に注視しているので、海外向けの輸出商品では今後、環境対応資材は必須になるのかもしれません。欧米向けの商品で、一度しか使われない使い捨てプラスチック容器、いわゆるシングルユースプラスチック材料は今後排除されていくともいわれています。その中で生分解性プラスチックは需要が高まっています。海外に販路拡大を考えているメーカーとは力強く手を組んでいきたいと考えています。
当社ではこれまでメイドインジャパンの機械や資材を海外に多く販売してきたので、TF-BIOもメイドインジャパンの商品として海外にどんどん売り出していきたいというのも個人的な目標です。
さらに、海外のお客さまも対象とすることを考えると、インバウンド需要にも対応する必要があるかと思います。海外からの旅行者が購入するような商品にも有効ではないでしょうか。
さまざまな商品がありますが、食品や化粧品だけでなく、製薬業界や化学業界などとも連携したいと考えています。
——顧客である製造メーカーと連携する際に意識していることはありますか。
お客さまと協力していいものを作りたい、ということです。バリア性とヒートシール性を担保しているのは大きな強みですが、時代とニーズを捉えながらTF-BIOをブラッシュアップさせることも今後は必要になるでしょう。
コロナ禍で新しいことへの取り組みが世界的に停滞しており、その点は私たちも苦労しています。厳しい状況ですが、やはり前に向かって動いていかなければならないと思います。お客さまと一緒に取り組んでいきたいという強い想いがあり、環境問題に対して力添えをするというのが私たちの考えです。
【情報提供】
椿本興業株式会社 http://www.tsubaki.co.jp/
島田 祥輔(しまだしょうすけ)
サイエンスライター 1982年生まれ。名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了。特に遺伝子に興味があり、遺伝子の研究によって医療や生活がどう変わっていくのかに注目している。また、腸内細菌検査サービス「マイキンソー」のオウンドメディア「Mykinsoラボ」の編集長を務める。
