電磁ノイズ対策とIoT機器に最適な新電池【5G/IoT通信展レポート(後編)】

2020/12/24

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期間:2020年10月28日(水)~2020年10月30日(金)

会場:幕張メッセ

「第3回 5G/IoT通信展」レポートの後編は、素材に加えて機器やシステムなども含めた5G(第5世代移動通信システム)対応製品を開発する企業が提供する電磁ノイズ対策ソリューションと、セラミックに強いメーカーが開発した次世代電池、そしてすべての展示を通しての総論をお届けします。

前編はこちらです。【5G/IoT通信展レポート】前編 シビアな5G規格に対応する高機能素材

■電磁ノイズ対策は材料開発から

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図1 5G/IoT通信展での星和電機のブース

星和電機株式会社は、道路情報板をはじめとする情報表示システムや防水・防爆形などの産業用照明のトップメーカーとして知られています。デジタル機器で発生する電磁ノイズへの対策に関する事業でも着実に実績を積んでおり、培った技術を活かした5G対応サービスの展開に力を入れています。

「電磁ノイズ対策製品は、たとえばケーブルなどに付けるフェライトコアであれば、主原料となる磁性材料の開発から始め、最終製品に仕上げていきます。したがって、化学、機械、電気・電子といった総合的な技術力が必要になるのです」(コンポーネント事業部・吉岡崇氏)

星和電機は、フィンガーやガスケット、シールドチューブ、電磁波制御材など多様な電磁ノイズ対策製品を開発してきました。最近ではこの分野において、コンサルティングともいえるソリューション事業で注目を集めています。

「ノイズ対策製品は単体で使うより、連携するシステムとして使うことで機能が高まるので、装置全体の最適化を目指すことが重要です。この点、個々の製品に精通している私たちだからこそ、総合的なノイズ対策ができるのです」(吉岡氏)

5G機器をめぐっては、電磁ノイズが大きな障害となります。同社はすでに多くの関連企業から電磁ノイズ対策の依頼を受けており、性能の安定と向上に貢献しているそうです。

星和電機株式会社

https://www.seiwa.co.jp/index.html

■「半固体電池」で長寿命と高耐熱性を実現

当初、取材の予定には入っていなかったものの、会場で見つけた製品の中で興味を引かれたのが、日本ガイシ株式会社の超小型リチウムイオン二次電池「EnerCera」でした。5G時代になるとIoT(モノのインターネット)のデバイスがさらに普及すると予測されますが、離れた場所でセンサや通信回路を動かすには独立した電源が必要になります。しかし、従来のリチウムイオン二次電池は電極や電解質に有機材料を多用しているため、寿命や耐熱性の点で問題がありました。

このような課題の解決に向け全固体電池の開発が進められているものの、まだ実用には至っていません。日本ガイシのEnerCeraは、正極に独自開発した結晶配向セラミックス電極板を使用し、少量の電解液を染み込ませた「半固体電池」といえます。これにより、10年以上の寿命と85℃までの耐熱性を実現したのです。すでにコイン型とパウチ型の2種類のラインナップで市販を始めており、会場でも多くの来訪者が熱心に説明を聞いていました。

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図2 日本ガイシの展示品

日本ガイシ EnerCera

https://www.ngk.co.jp/product/electron/enercera_lp/

■「5G時代が本当に来るのは10年後かも」との声も

今回、いくつかの企業のブースを回ってみて受けた印象は、「5G時代の本格的な幕開けはこれから」というものです。というのも、すぐ使えるような通信機器の展示は少なく、素材や基礎パーツ、電源装置といった開発の最上流に来る製品が多数を占めていたからです。コロナ禍で出展できなかった企業が多かったとしても、マスコミが報じる5Gの華々しさは会場にはありませんでした。

実際、話を聞かせていただいた企業からも、「今、サービスが始まっているのは5Gの一部に過ぎず、産業用の機器が出そろうのはかなり先」「5G時代になったと本当に言えるのは5年後、あるいは10年後かもしれない」といった本音が多く聞かれました。なかには「5Gより先に6Gが来てしまうかも」と笑う人もいて、5Gの実状は混沌としているように思えます。それだけに、表面的な報道には惑わされず、技術の動向をしっかり見極めたうえで5Gにどう立ち向かうかを十分に検討することが重要となります。

石川 憲二(いしかわけんじ)

ジャーナリスト、作家、編集者 1958年東京生まれ。東京理科大学理学部卒業。30年以上にわたって企業や研究機関を取材し、技術やビジネスに関する解説記事を書き続けている。扱ってきた領域は、電気・電子、機械、自動車、航空・宇宙、船舶、材料、化学、コンピュータ、通信、システム、ロボット、エネルギー、生産技術、知的財産、経営、人事、マネジメントなど。

公式サイト http://www.ne.jp/asahi/happy/golucky/