小さな管瓶で世界を変える! 執念の開発ストーリー (前編) -PR-

2020/11/16

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現代社会では、市場分析や顧客分析など、あらゆる情報が分析されています。我々人類は、分析を活用することで、生活やビジネスなどの環境を豊かなものにしています。そんな分析の中に「分析化学」という分野があります。分析化学はモノづくりや環境保全など幅広い分野で活用されています。今回は、その中でもクロマトグラフィーを使用した微量分析を例にみていきましょう。

クロマトグラフィーの活用例は、医薬品や食品の品質管理、浄水・下水の水質管理だけでなく犯罪の検査など、多岐にわたります。近年では、環境保全の分野においても分析は非常に重要なものとなっています。

このように多分野で使われる分析機器の性能は、分析時間の短縮や精度の向上など、年々進化を遂げています。しかし、分析機器に関連する消耗品はあまり性能に変化が見られません。

分析機器だけが進化しても、周辺部品が進化しなければ本来の性能を発揮できません。この状況を見かねて市場に参入した製品があります。それが「PROQUALITA(プロクアリタ)」のバイアルです。

PROQUALITAはクロマトグラフィーを用いる際に検体を入れる容器です。この容器は分析装置のオートサンプラー(自動機)に使用されることから、市場では「オートサンプラーバイアル」などと呼称されます。バイアル(容器)に入った検体は、オートサンプラーについているニードル(注射針)で吸い上げられ、分析機器に注入されます。

さて、PROQUALITAバイアルにはどのような特徴があるのか? はたまたどのような想いが込められているのか? この製品を作った担当者に話を聞いてみました。

「セプタムって何?」から始まり、品質にこだわりぬいた、ROQUALITA開発奮闘記

私はガラス関連の商材を扱っている担当者で分析機器に関しては全くの素人でした。ある日、台湾でさまざまな業種の方々と食事をしている時、ふと「分析用で使う『このシート』ってこれ自体に不純物が多くて、分析する時に困ってるんだよね。日本でも同じなの?」という話を聞きました。

はじめは、「このシート」がそもそも何のことか、私にはさっぱり分かりませんでした。日本に帰ってから調べてみると、クロマトグラフィ―に使用するバイアル(容器)の一部品で「セプタム」呼ばれていることが分かりました。また、このバイアルを使用している関係者の方々に聞いたところ、台湾で聞いた話と全く同じでした。どうやら、どの国でも、このセプタムの品質で困っているようです。

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図1 バイアル瓶概略図

このセプタムというシートは、「シリコーン材のゴム」と「フッ素フィルム」の複合シートでできています。「シリコーン」は中身の密閉性を保つための機能、「フッ素フィルム」は耐薬品性を持っています。

さらに突き詰めていくと、この分析用途としてのセプタムは、別用途で使用されている部品を流用していることが分かりました。どうりで異物混入リスクが高まるわけです。新たな発見であり、驚きでした。

正確な分析を行うべき研究者のために、そして正確な分析を必要とする人々のために、私は一から製品開発することを決意したのです。

しかし、それからが大変でした。問題は大きく分けて3つありました。

まずはシリコーンの見直しです。不純物の主な原因は、シリコーンにありました。そこで、一からシリコーンの改良を進めることにしました。シリコーンにもさまざまな種類があり、硬度の違いや硬化システムの違い等大きく分けても30種類以上。どこから手を付けてよいのか分かりませんでした。コストも勘案しなければなりません。さらに、添加剤の選定やその配合比、シリコーンの硬化条件などについて、およそ300回の試作を繰り返しました。そして、ようやく、今のシリコーンにたどり着きました。

2つ目の問題は接着剤です。市場にあるセプタムは、シリコーンとフッ素フィルムを接着剤で張り合わせています。この接着剤が不純物混入のリスクになっていました。そこで、「安心して使用してもらうためには接着剤を使わなければいいんだ。溶出リスクを避けるためにシリコーンとフッ素フィルムだけの完全2層構造にしよう!」と思い立ち、開発が進んでいきました。(イメージ1)

シリコーンとフッ素フィルムを複層する工程には悪戦苦闘し、この完全2層構造の実現のために、フッ素フィルムメーカーにも多大なご協力をいただきました。プロの技術が集結し、特許技術を持つ完全2層構造(接着剤不使用)のセプタムが完成しました。

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イメージ1 完全2層構造セプタム(構想)

最後に、一番大変だったのは内面バイアル内の揮発性溶媒を保持するための密閉性の実現です。一般的に、クロマトグラフィーは、分析したい成分を液状にしてバイアルへ入れます。そのために有機溶媒を使用することが多々あります。特に有機溶媒を使用する場合は溶媒の揮発を考える必要があります。なぜかというと、有機溶媒が揮発することにより、分析したい成分の濃度が変わってしまうからです。分析機器によっては1本を測定するのに1時間程度かかるものもあります。一度に数十本分析しようとする場合、全てを分析しようとする場合、2日間程度の時間がかかることもあるのです。

クロマトグラフィーでは、何度もニードルをバイアルに刺したり抜いたりすることがあります。ここで問題なのがセプタムにできたニードルが貫通した刺し穴です。溶媒の揮発を防止するためにはシリコーンとフッ素フィルム、両方の穴が締まらなければなりません。

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図2 ニードルの刺し穴 比較

PROQUALITAと他社製品を比べてみると、市場にあるセプタムはニードルの刺し穴が締まらず、開いたままになっています。この点を改善できれば製品としてお客さまに安心を提供できるのではと考えたのです。

この技術でポイントになったのは、フッ素フィルムの選定でした。

・シリコーンの弾性に追随する柔らかさ

・オートサンプラーで使用する際のニードルとの相性

・耐薬品性の維持

・分析検体へ汚染リスク(コンタミネーション)を軽減した製造工程

さまざまな角度から検討を重ね、ようやくこのニードル穴を閉じるという最難関事項を解決しました。

バイアルそのものの改善だけでなく、製品の品質リスクを軽減するために、製造環境にもこだわりました。まずは、セプタムを製造するためにできる限り一拠点でモノづくりをするという部分にこだわりました。

一般的にセプタムの製造工程は、

「シリコーンの成形」→「シリコーンとフッ素フィルムの貼り合わせ」→「製品寸法への型抜き」→「キャップに装着」→「梱包」

となっています。通常はこのフローの中に2~3社が介在しますが、私たちは1社で行っています。

4M(人・機械・材料・方法)管理を徹底することで、品質の維持や向上が可能になりました。さらに、この製造工程を医薬品製造レベルの清浄度レベルであるクラス10000のクリーンルームで行うことで、コンタミネーションのリスク軽減を進めました。

日本だけでなく世界から色々なメーカーのサンプルを取り寄せ比較試験を実施し、今までにないレベルの製品が実現できていることが分かりました。その際には複数の分析機関の方にもさまざまなアドバイスをいただきました。

そして、約3年の歳月をかけ、ようやく製品化にたどり着いたのです。

こうして、各部材のプロフェッショナルが集まり、知恵を集約させて誕生したのがPROQUALITA。ブランド名も「QUALITA」、イタリア語で「品質」を意味し、「プロの品質をお届けします」という想いを込めたのでした。

【情報提供】

PROQUALITAバイアルのキーテクノロジーであるセプタムは、㈱SHINDOにて研究開発されたものです。

  株式会社SHINDO https://www.shindo.com/jp/

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