in vitroの深化とex vivoの活用! 皮膚科学の最先端が導く「化粧品素材開発」の新たな評価軸【先読み!研究開発トレンド】

2026/08/04

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Chematels編集チームの「シーエムシー出版」編集担当者より、最先端の研究開発の中身を「先読み」できる記事をお届けします。今回のテーマは、「化粧品素材の開発と有効性・安全性評価」。エビデンス(科学的根拠)を重視した製品開発への要求が高まる一方、動物実験代替法の普及も進み、化粧品素材の評価技術は大きく進化しています。本記事では、皮膚科学の最新知見を踏まえながら、新規素材の価値を最大限に引き出すための評価技術の最新動向をご紹介します。


in vitro評価とヒト皮膚への適用性のギャップは長年の課題だった

優れた機能性を持つ新規素材を発見・合成できても、それを実際の化粧品処方に組み込み、狙いどおりの効果を発揮させるまでには長らく高いハードルが存在してきました。

動物実験が制限されるなか、素材評価では単層培養細胞や再生皮膚モデルを用いた「in vitro評価」が重要な役割を担っています。一方で、in vitro評価だけでは、ヒト皮膚(in vivo)における適用濃度や有効性を十分に予測することが難しいという課題もありました(図1)。

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図1:培養細胞データ(in vitro)からヒト肌効果(in vivo)予測の壁

ex vivoや網羅的解析が素材評価の精度を高める

こうした課題を補完するため、皮膚科学の進展や、市場の関心がアンチエイジングから「longevity(健康寿命・健やかな長寿)」へと広がる流れを背景に、素材評価技術は近年、大きく進歩しています。

現在の技術動向は、大きく次の4つのカテゴリーに整理できます。①現象を非侵襲的に捉える「可視化技術」、②遺伝子レベルで解析する「網羅的解析技術」、③in vitro評価を補完する「ex vivo(ヒト摘出皮膚)評価技術」、そして④国際基準に準拠した「動物実験代替法」です(図2)。

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図2:化粧品開発におけるアプローチ

Senolysis、RNA-seq、ヒト摘出皮膚……多様な評価プロトコールが確立

これら4つのカテゴリーでは、実践的な評価手法の確立が進んでいます。

抗老化研究では、老化細胞を選択的に除去する「Senolysis(セノリシス)」に関する評価や、次世代シーケンサーを用いたRNA-seq解析による発現変動遺伝子の網羅的解析が広く活用されています。また、イメージング質量分析技術(IMS)は、皮膚や毛髪中の成分分布や代謝物を可視化する技術として応用が広がっています。

さらに、培養細胞では再現が難しい皮膚組織の構造や応答を評価するため、ヒト摘出皮膚を用いたex vivo評価によるコラーゲン新生評価など、より実用性の高い評価プロトコールも確立され、ヒトへの適用性をより意識した有用性エビデンスの取得が可能になっています。

動物実験代替法の普及が安全性評価を後押し

現在、日本国内でも、OECDテストガイドラインに準拠した動物実験代替法に基づくデータを安全性評価に活用する取り組みが進んでいます。皮膚感作性評価法であるAmino acid Derivative Reactivity Assay(ADRA)」をはじめ、各種の皮膚感作性試験や眼刺激性試験など、国際的に整備された代替評価法を理解し活用することは、グローバル展開を見据えた素材開発において大きな強みとなります。ADRAはOECDテストガイドライン442Cに収載されている皮膚感作性評価法の一つです。

変革の時代を見据える一冊を刊行

新刊『〈続〉化粧品技術者のための素材開発実験プロトコール集』は、2015年の前版刊行以来となる待望の改訂版です。皮膚科学や分析技術の進展を踏まえ、最新のin vitroおよびex vivo評価をはじめとする各種実験・評価手法について、その原理から具体的な操作方法まで体系的に解説しています。

市場環境や評価基準が大きく変化する今、化粧品素材開発に携わるすべての方にとって、本書は皮膚科学の最新知見からデータ解析、現場で役立つ実験プロトコール、安全性評価までを俯瞰できる実践的な一冊です。ぜひご活用ください。

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図3:『〈続〉化粧品技術者のための素材開発実験プロトコール集』2026年5月29日発行

『〈続〉化粧品技術者のための素材開発実験プロトコール集』は、2026年5月29日発行です。詳しくは、こちらのご案内をチェックしてみてください。

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上本朋美(うえもと ともみ)

シーエムシー出版編集部所属(大阪)。雑誌『月刊 機能材料』の編集を経て、現在はレポートの企画・編集業務に従事しています。エレクトロニクス、新材料、エネルギー、医薬、化粧品など産業界で注目されているテーマの情報発信に努めます。