プラスチックや石化製品はどうなる!? ナフサショックをQ&A方式でわかりやすく解説

2026/04/14

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【緊急寄稿】ナフサショックを読み解く 中東紛争による石油化学産業への影響と題し、Plabaseに寄稿した記事に続いて、こちらでは今回の中東紛争後にSNSなどで飛び交っている素朴な疑問にお答えしていきます。

Q1.ナフサはホルムズ海峡を通る供給に頼っており、6月には供給不足で日本全体の産業に影響が出るのか?

Plabaseの寄稿でも記載しましたが、ナフサは足元で欧米やアジアなどペルシア湾外の積み地からの輸入量を大幅に増加させることで、コンビナートの稼働を最低限確保できる見通しです。原油やナフサについて米国や欧州、および紅海沿岸からの調達へとすぐに切り替えることができている背景には、それほどの高値で調達できる国や地域が、そもそも限られているということもあります。価格が二倍になっても調達できる国や企業は経済合理性の観点から限定的というわけです。

ナフサはアジア相場が急騰したことで、これまで大西洋域内のガソリン向けに出荷されていた数量を引き込むことが可能となりました。つまり、現状は、お金を積めば最低限の数量を確保できると理解して問題ありません。


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(画像はイメージです)


Q2.ナフサは医療の生命線なので、ナフサの輸入が切れれば一大事?

医療分野において使用される石化製品は、フィルムやチューブ、医療器具に使用されるプラスチックのほかにも、滅菌ガスや医薬原体など多岐に渡ります。基本的にそれらの材料の多くはナフサが原料となっていますが、製品ベースで輸入されるケースも多く、全て国内のナフサクラッカーが出発点となっているわけではありません。

輸入の場合は各国の状況に左右されますが、輸入元の国々においても輸出を優先して減少させていることは容易に想像できます。もちろん市場原理によって高値であれば調達できるということもあると思いますし、他の国からの調達も選択肢にあります。

一方、国産品であれば話は変わってきます。基本的に医療用途は汎用品の多い石化製品の中でも高付加価値分野ですので、メーカー側が生産数を減らすとは想像できません。ナフサは最低稼働を維持できる数量は調達できている状況ですので、国産品において医療用途の供給が減少することは想定しづらい状況です。

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(画像はイメージです)

Q3.ナフサクラッカーの停止=石化製品の供給枯渇?

Plabaseの寄稿でも明らかにしていますが、もともとナフサクラッカーの稼働率が低迷しているなかでも、内需の減少を背景に赤字でもエチレンやプロピレンは大量に輸出をしていました。今回の中東紛争後は赤字での輸出はできないとして、高値の原料価格を転嫁可能な用途に限って生産していく見通しで、同一企業が同じ場所に2つクラッカーを保有している会社は合理的にそのうちの1つを停止させるなどの措置を講じる可能性はあります。

しかし、それでも輸出を切れば内需を確保できるだけの数量を生産することは可能であり、たとえ一部のナフサクラッカーが停止したとしても、石化製品の供給が枯渇するというのは明らかに言い過ぎであると言えます。

Q4.日本政府がもっと石化製品のサプライチェーンを管理すべき?

複雑怪奇なサプライチェーン、そして参加している甚大な数の企業を政府が管理することは不可能であり、かえって民間の自由な経済活動を阻害してしまうことにもつながります。政府は主要原料の在庫日数の管理と、緊急時の臨時的介入や仲介といったスタンスでサプライチェーンを支援しながら、民間の自助努力を促すほかないでしょう。

川下に行けば行くほど、輸入は容易になっていきますし、そもそも国内で生産されていたような重要物資は国内のコンビナートが稼働を続けていますので、供給が途絶える可能性は少ないと言えます。

今後、人命にかかわる重要な資材が不足したり、不合理的な高額転売が横行したりするなど、国民生活への影響が甚大となった場合、1970年のオイルショックおよびコロナショックに続いて、国民生活緊急安定措置法が適用される可能性もあるでしょう。

ただし、現時点では深刻な品不足になっている分野は少ないことから、例えばホルムズ海峡の実質的封鎖が6月以降も継続するなど、足元の事態が長期化した場合に限られそうです。

Q5.中東からのナフサがなくなるのであれば、米国からエタンを輸入すればいいのでは?

たしかに、主要な石化原料であるエチレンを生産するだけであれば、米国からエタンやLPGといったガス原料を輸入すれば事足りるということになるかもしれません。

しかし、日本のナフサクラッカーはアジアでもっとも古く、当時から容易に運搬可能で、製油所の余剰留分であったナフサを原料にすることが最も経済的でした。原料をエタンに切り替えるためには、まずは専用の桟橋・パイプラインが必要です。また、保管のためのタンクや分解炉の回収も必要となります。これらの投資には莫大な資金と期間が必要であり、非現実的です。そのため、現状は非中東由来のナフサの調達に依存せざるを得ないのです。

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※なお、以上の内容について問い合わせなどがあれば、hiroki_yanagimoto1@yahoo.co.jpまでお気軽にお問い合わせください。

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柳本 浩希(やなぎもとひろき)

1985年生まれ。大学卒業後、総合化学メーカーに就職し、石化コンビナートの現場、ナフサの調達、合成樹脂の営業を経験。その後、ナフサ取引の仲介や情報誌の編集責任を務め、2026年5月に炭化水素リサーチ株式会社を創業(https://hc-r.co.jp/)。ナフサと石油化学業界必携のNaphtha Portalを立ち上げる。