粒径、形、屈折率から硬度、耐熱性まで…カスタマイズ自在のポリマー微粒子だから用途も膨らむ―積水化成品【新機能性材料展レポート2026 第1回】
2026/04/092026年1月28日~30日、東京都江東区の東京ビッグサイトで「新機能性材料展」が開催されました。Chematelsでは、編集部が注目した出展企業3社をシリーズで紹介します。第1回は、発泡樹脂大手の積水化成品(本社大阪市北区)です。当該展示会では発泡樹脂ではなくコーティングやコンパウンド材料の添加剤として展示されていた粒径、粒度分布、粒子形状、屈折率、硬度、耐溶剤性、耐熱性など、さまざまな物性においてカスタマイズ性に優れたポリマー微粒子「テクポリマー」を紹介します。
粒子径、粒度分布、形状、屈折率などを自在に調整

図1:「テクポリマー」の展示パネル・ディスプレイ
(編集部撮影)
「テクポリマー」(図1)は、メタクリル酸メチルやスチレンなどを重合してつくるポリマー微粒子です。その特長は、真球に近い形状で、粒子の大きさが揃っている点にあります。加えて、ナノサイズからマイクロサイズまで粒子サイズの調整が可能です(図2)。

図2:「テクポリマー」の粒子サイズと粒度分布(一例)。粒度分布がブロードのタイプと粒度分布がシャープで均一な粒子が揃っているタイプの両方のラインアップがある
(出所:積水化成品配布資料より作成)
積水化成品は1984年ごろから「テクポリマー」の用途開発を始めました。第2事業本部機能性ポリマー事業部主事の加藤一希さんは、「長年の技術の蓄積があり、カスタマイズを得意としています。調整できる特性も、提案の引き出しも多くあります。ナノからマイクロまでの粒子サイズ、多分散から単分散までの粒度分布の選択、多孔化や中空化といった粒子形状のほか、屈折率、硬度、耐溶剤性、耐熱性などを調整できます」と説明します。
展示会の直前、2026年1月28日にも、透明性を維持したまま屈折率を制御できる新規架橋ナノ粒子を開発したことを発表し、ブースに展示していました(図3)。

図3:架橋ナノ粒子の展示。右側の透明度が高いほうが、50ナノメートルのポリメチルメタクリレート(PMMA:Poly(methyl methacrylate))微粒子を配合した膜硬化物。ポリマー微粒子をナノサイズにしたり屈折率をカスタマイズしたりすることで、ポリマー微粒子添加による機能性の向上を図りながら透明性を維持
(編集部撮影)
光源を拡散、映り込みを抑制など…多くの用途あり
「テクポリマー」はすでに多くの用途で実用化されています。展示ブースでは、微粒子による光の散乱を利用した応用例が紹介されていました(図4)。

図4:「テクポリマー」の使用例。(上左)肌をきれいに見せる (上右)光源を拡散。発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)照明の樹脂カバーに添加。光透過量の損失を抑えつつ、照明カバー全体に光を拡散。自動車のテールランプなど向け (下左)映り込みを抑制。左半分には手が写り込んでいるが、「テクポリマー」を添加した右半分には映り込まず。ディスプレイの映り込みを抑制する防眩フィルム向け(下右)傷に強く耐摩耗性の向上が可能
(筆者撮影・編集部撮影)
塗料や接着剤に「テクポリマー」を添加すれば、液体の粘度や塗膜の意匠性や靭性など、さまざまな機能性付与が可能です。新規開発品の軟質低誘電微粒子は、軟質でありながら絶縁性を付与できます。(図5)。「国内外の半導体関係のお客さまからお問い合わせをいただいており、より多くの方々に知っていただきたいと力を入れています」と加藤さん。

図5:接着剤などへの「テクポリマー」添加の効果。(上グラフ)微粒子を直径で10%小さくなるまで押し付けるために必要な力の比較。架橋PMMAを1とした時の相対値。中空ポリマー粒子は小さい力で縮むため靭性向上力が高い (下グラフ)硬くて脆い性質のエポキシ樹脂接着剤に「テクポリマー」を混ぜることで接着層に柔軟性(靭性)を付与できる。炭素繊維強化プラスチックの樹脂部分に混ぜれば破壊靭性を高められる
(出所:積水化成品配布資料より作成)
燃やしてなくす!造孔剤としても
焼成前のセラミックスに入れておいた「テクポリマー」が焼成時に分解されることで造孔剤としても使用でき、「テクポリマー」のサイズに応じて任意に孔径を調整することが可能です(図6)。

図6:造孔剤としての用途。同一サイズのジルコニアの造形物が155gから95gに軽量化。砥石の孔をつくったり、電池のセパレーターを多孔化して接触面積を増やしたりする。サンプルは第一セラモ製
(出所:積水化成品配布資料より作成、写真:筆者撮影)
「テクポリマ―」の粒子径を選べば、孔の大きさを調整できるほか、粒子が消失する温度も選べます。広い温度域でじわじわと消失するのではなく、狭い温度域でさっと消失するのが特長です。また『テクポリマー』は分解後の残渣がほとんど出ないことも大きな特長です」と、加藤さんは説明します(図7)。

図 7:造孔剤用途での「テクポリマー」の特長。消失温度を選べる
(出所:積水化成品配布資料より作成)
「テクポリマー」は多数のグレードがある上に、カスタマイズも可能。カタログを覗いてみたら、新たな用途を見つけられるかもしれません。加藤さんは「お困りごとがあったらお気軽にご相談ください。さまざまな業界での知見と経験を総合して、ご提案をいたします」と意欲的です。
次回は、バイオフィルムと呼ばれる水回りのヌメリに対するソリューションを提供するメーカーの展示ブースよりレポートする予定です。
村上 華子(むらかみ はなこ)
早稲田大学大学院応用化学修了、社会人経験後、早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラムを修了。LION株式会社の技術ジャーナル、NEDO実用化ドキュメント、計算基礎科学連携拠点の月刊JICFuSなどで研究紹介取材記事を執筆。工学・化学・計算科学・生物学を中心に執筆。
